横浜市環境創造局は、気候変動による災害の激甚化を踏まえ、浸水対策プランを策定する。横浜駅周辺地区では時間降雨量81・6_対応にするなど、目標整備水準の時間降雨量を1・1倍に引き上げる。これに伴い、優先的に整備する地区の選定方法も見直す。新たな整備水準に基づく浸水対策は、26年度以降に着手する考えだ。
市は、自然排水区域とポンプ排水区域、特別地区に指定する横浜駅周辺地区のそれぞれで、浸水対策を行う目標整備水準を定めている。気候変動の影響で災害が激甚化している現状を踏まえ、目標整備水準の時間降雨量を1・1倍に引き上げる。特別地区である横浜駅周辺地区では、時間降雨量81・6_対応(現在は74・2_)、ポンプ排水区域では時間降雨量63・7_対応(同57・9_)、自然排水区域では時間降雨量51・9_対応(同47・2ミリ)とする。
整備水準の引き上げに伴い、優先して浸水対策を行う地区の選定方法を見直す。これまでは従来の整備水準を満たすよう、浸水被害が発生した地区を中心に幹線の整備や雨水調整池の築造を行ってきた。
今後は、浸水リスクがある地区で予防対応型の対策を進める。シミュレーションに基づき、浸水する可能性があるエリアの他、人口密度や要配慮者利用施設・駅・地下施設の有無などを指標として、地区を決定する。
従来の目標整備水準に基づく整備の進捗を見ると、自然排水区域は対象地区138地区のうち114地区で、ポンプ排水区域は41地区のうち38地区で整備を終えており、おおむね完了している。
引き上げる整備水準に基づく浸水対策は、2026年度以降に着手する予定だ。整備に当たっては、市の下水道事業計画を変更する必要があるため、24年度から市域を分割して、調査業務に着手する見込み。
ソフト対策による減災目標も示す。時間降雨量100_の降雨に対しては、床上浸水をおおむね防止する施策に取り組む。具体的には、浸水リスクのある地区で、止水板の設置や床の高さを上げるといったハード整備への補助などを想定する。時間降雨量153_の降雨に対しては、ハザードマップの作成、頒布などにより、安全な避難経路の把握を促す取り組みを行う予定だ。
現在、有識者で構成する「気候変動を踏まえた浸水対策検討部会」で、プランの素案について審議している。策定の時期は現段階では未定。
提供:建通新聞社