京都市は、民間保育所建替え等支援制度を創設。令和6年2月に公募を行い、6年度に公募締切、対象施設の選定、予算案の提案を経て、7年度から事業実施を目指す。
市は、国の補助金を活用した民間保育所等整備助成について、これまで待機児童対策及び耐震化に重点を置いて実施、民間保育所等の耐震化率100%を達成した。その一方で、市内の全保育所・認定こども園等のうち約9割以上を民営の保育施設が担っており、そうした保育施設は昭和30〜50年代に建設され、近い将来、更新時期を迎える建物が多数存在することから、民間保育所等の老朽化対策に取り組む必要がある。
今後、施設の老朽化が進行する状況を踏まえ、市は令和5年度に各施設に建築士等の専門家を派遣して、建物の老朽度調査を実施した。
令和5年4月1日時点で、分園も含め民間保育所等は市内に421施設あり、国の省令に基づく耐用年数を超過した建物を使用している保育所等は142施設で全体の33・7%を占める。
民間保育所等老朽度調査は、耐用年数を超過した建物を有する施設、かつ「施設の設置者」と「建物所有者」が一致している施設(自己所有)の計100施設(129棟)を対象に実施した(4施設が調査を辞退したため、実際に調査したのは96施設(125棟))。
令和5年6月末から10月末にかけて、対象施設の内部及び外部(屋上、外壁、敷地周辺等)を目視や傾斜計測(木造建築物のみ)により調査し、建物の耐力や外壁・柱等の保存度等の評価から得られる老朽度(非木造建築物は国が定める基準に基づく特A〜Eの6段階判定、木造建築物は老朽度を点数化し判定)をもとに、建物ごとの建替えの緊急度の判定を行った。
調査結果によると、非木造建築物90棟のうち、全体の5・6%にあたる5棟が老朽化に伴う改築整備(建替え)を「C(できるだけ早く実施した方がよい)」という結果となった。D(必要は認めるが急がなくてよい)は58棟、E(必要ない)は27棟。
また木造建築物35棟のうち、全体の8・6%にあたる3棟が老朽化に伴う改築整備を「実施した方がよい」と考えられる「5500点以下」(4500点以下が2棟、4500点超〜5500点以下が1棟)という結果となった。それ以外の32棟は5500点超。
調査結果を踏まえ、現時点では多くの施設の建物で老朽化に伴う改築整備(建替え)は、「必要は認めるが急がなくてよい」又は「必要ない」という状況が明らかになった。一方で、一部の施設の建物は改築整備等の老朽化対策を講じる必要性があることがわかった。これらの施設の中には、実際に建替えを希望する施設もあることから、安心安全な保育環境を維持する目的で、建替えや大規模改修に係る支援制度を創設することを決めた。また直ちに対策を講じる必要性は低いと判定された建物の施設においても、必要な対策を検討する考え。
民間保育所建替え等支援制度の対象工事は建替え及び大規模改修。
対象施設は保育所、認定こども園、小規模保育事業所。
要件は@耐用年数を超過していることA自己所有の建物であることB老朽度判定の結果、非木造建築物の場合は老朽度が特A〜Cの施設、木造建築物の場合は老朽度が「5500点以下」の施設。
対象施設の選定方法は、経過年数(耐用年数を超過した年数)及び老朽度のほか、特別保育の実施状況、資金計画、監査結果などを点数化し、高得点のものから実施施設として選定予定。
国の「就学前教育・保育施設整備交付金」を活用し、事業費の一部を補助する。毎年度の実施件数は予算編成の中で検討する。なお交付対象事業費に対し、国1/2、市1/4、施設1/4の負担となる。