名古屋市交通局は、次期経営計画案をまとめた。改修ペースを上げる考えを示していた駅リニューアル改修は、年3駅程度整備する目標を掲げた。現計画では5年間で8駅程度としていたので、単純計算では2倍近くの目標設定となる。地下鉄駅エレベーター整備では、新規整備箇所として、池下、六番町、黒川、大須観音、ナゴヤドーム前矢田の5駅を挙げ、26年度から順次着手していく考え。同計画案は、2024年1月にパブリックコメント手続きを開始し、3月に計画を策定・公表する予定だ。
新規施策を見ると、災害対策・セキュリティー強化で、浸水警報設備の整備を年5駅程度進める方針を示した。急な豪雨などで駅出入り口周辺道路の冠水状況に応じて、止水板の立ち上げなどの準備ができるよう、駅に浸水を知らせる設備を整備する。
まちづくりとの連携・環境負荷の低減では、栄駅の総合的な整備と東山線の高圧配電の電圧引き上げを挙げた。
栄駅では、第2栄変電所の機能を名城変電所に移設する事業が本年度内に完了。変電所跡地(一部2層構造、全体面積1200平方b)が有効活用できる空間となる。詳細は今後決めるとしているが、駅リニューアル改修に合わせて駅務室機能を変電所跡地のスペースに移し、現駅務室空間を民間事業者が活用する空間に改めるのが有力とみられる。駅長室は中改札口と東改札口の中間部にある。また、栄駅周辺の民間再開発により、栄駅の人流は変わっていくと予想していて、駅リニューアル改修では人流の変化を加味した改修を行っていく。
東山線の高圧配電は現在3300㌾。これを6600㌾に変更するための整備を行い、送電ロスの削減、駅設備への電力供給のさらなる安定化を図る。
施設のリニューアルでは、駅リフレッシュが新規施策。駅リニューアル改修(開業から50年以上)には至らない駅で、経年で汚れが目立つ駅の壁・床・天井など、通常の清掃では落としきれない汚れに対して特別清掃を実施する。年5駅程度で実施する計画。
事業運営の省力化・効率化では、レトロでんしゃ館(日進市)と資料センター(中区)の機能分化を新規事業に挙げた。レトロでんしゃ館は、局のPR施設として改修を実施。資料センターは資料収集施設として位置付け、一般公開を24年度内に終了、展示品はレトロでんしゃ館に移管する。
拡充施策では、駅リニューアルは年3駅程度実施していく。駅のエレベーター整備(2基目)は、本郷駅を24年度に着手する他、新たに5駅で26年度から新規着手する。現在実施中の伏見、御器所、本山、新瑞橋、瑞穂運動場西の5駅は26年度までに整備を完了させる。
駅構内カメラの増設を拡充する。駅ホームやトイレ出入り口など安全対策上必要な箇所に設置するとし、年10駅程度で整備を進める方針。その他拡充では、授乳室の設置を3駅程度で進める考え。
この他の施策では、駅ホームの冷房化を年2駅程度、駅構内トイレのリニューアルを年5駅程度で進める計画にしている。
提供:建通新聞社