建設新聞社
2023/12/05
【東北・宮城】「黒ビル」建替で仙台市と第一生命がまちづくり協定
仙台市と第一生命保険(東京都千代田区有楽町1の13の1 隅野俊亮代表取締役社長)は4日、仙台第一生命ビル(通称・黒ビル)を現地で建て替えることに当たり、勾当台・定禅寺エリアのまちづくりに関する連携協定を結んだ。同じく建て替える市役所本庁舎、再整備する勾当台公園と定禅寺通を含め、一体的にこのエリアの魅力を向上させるためのもので、オフィスのほか市民活動の場としての機能も担う。現在は竹中工務店が設計協力している段階で、本格的な設計も竹中工務店に委託する見込み。
連携事項は▽交流とゆとりを楽しむ場の拡充とにぎわいの相互波及▽地域協働によるエリア価値向上につながる取り組み▽業務機能の高度化などによる仙台都心の活性化−の3つ。市は黒ビル西側に面する「つなぎ横丁」を約5b拡幅し、第一生命は敷地を公園側(東側)に5bほどスライドさせ、公共トイレを新しいビル内に整備する。敷地面積は現在と同じ約1400平方bとなる見込み。
これらの連携は、黒ビルが老朽化し建て替えへのニーズが内部で高まっていたことや、第一生命が定禅寺通まちづくり協議会に加入しており、にぎわいづくりへの市の思いに共感したことから第一生命側が提案した。
計画によると新ビルは、S造地下1階地上13階建てを予定。建物の高さは60bを見込んでおり、市の都心再構築プロジェクトを活用して高さ制限をクリアする。1階は公園や定禅寺通などからビルに入りやすいオープンスペースやトイレなどとし、2階は一周できるテラスや飲食店などを整備。テラスからは光のページェントや青葉まつり、公園などで行うコンサートを展望できるようにして立体的な活動を促す。3階以上はオフィスとする。外観はイメージパースによると、白を基調とした爽やかな印象の色合いとなる計画。
また、市が国の脱炭素先行地域の認定を受けたことなどを踏まえ、環境に配慮した建物にするとしている。敷地に制限があるため、建物自体は省エネ設備にとどめ、再生可能エネルギーで発電した電力を購入するなどして環境を意識。ビル内では東北大学と連携した事業も展開する。2025年度に黒ビルの解体・新ビルの着工、28年度の竣工を目指す。
協定締結式で郡和子市長は「このエリアは仙台にとって特別であり、『相乗効果のあるまちづくりをしたい』という案をもらい、ありがたいこと。エリアの魅力がさらに向上すると期待している」と述べた。第一生命保険の隅野社長は「私たちの事業は地域に根差したもの。単なるオフィスビルの建て替えでなく、交流やにぎわいの場として一翼を担いたい」などと話した。
なお、仙台市本庁舎の建て替え事業は本体工事を入札手続き中で、建築などWTO対象の3件を来年1月23日に開札する。勾当台公園の再整備事業は、本年度で日本工営都市空間が基本設計を作成している。
提供:建設新聞社