横浜市下水道事業経営研究会(第9期、座長・滝沢智東京大学大学院教授)は、2026〜33年度の建設改良費の目安を年平均700億円とし、DXやPPP/PFIの推進による収支ギャップの縮小を目指すことなどを提言した。市の下水道事業の長期的な財政運営のあり方について報告書をまとめ、平原敏英副市長に提出した。
主な提言内容は▽企業債に着目した財政運営▽「財源」と「投資」に係る検討▽長期の投資計画▽定期的な見直し―など。
横浜市下水道事業では企業債の発行により投資額を調達している。将来世代の負担を軽減するため、下水道事業の企業債未償還残高の目安として、40年度末の市民一人当たりの企業債未償還残高を21年度企業債未償還残高(16万6000円)程度に抑えることを掲げた。必要な投資の先送りにつながることがないよう、着実かつ効率的な施策実施による経営方針の実現を前提とするよう求める。
「横浜市下水道事業中期経営計画2022」では、22〜25年度の建設改良費を年平均617億円と試算している。26〜33年度は、下水道管の再整備の加速化や横浜駅周辺浸水対策などにより年平均779億円に増大する想定だ。企業債未償還残高の目安を下回るよう逆算した結果、26〜33年度は年間700億円、34年度以降は年間650億円(22〜25年度と比べ5・3%増)が目安となる。横浜駅周辺浸水対策や水再生センターの再構築など、大型投資を見込んでいるため、26〜33年度の建設改良費は34年度以降より年間50億円大きく設定している。
収支ギャップを縮小するための方策としては、▽状態監視保全など予防保全型維持管理による更なる長寿命化▽施設の統廃合、規模や機能の最適化▽技術開発・新技術の積極導入、DX推進▽民間資金・ノウハウの積極活用(PPP/PFI推進、管理・更新一体マネジメントなど)▽省エネ・水質両立の最適運転▽下水道資産・資源利活用等による新たな財源の創出―などを挙げた。
提供:建通新聞社