名古屋市交通局は、次期経営計画(2024〜28年)の原案をまとめ、栄駅の総合的な整備を新規事業に位置付ける方針を明らかにした。栄駅のリニューアル工事(名城線ホーム部分を除く)に合わせて、第2栄変電所跡地を有効活用、現駅務室スペースを民間事業者が活用する空間に一新していく他、近隣で進む再開発ビルを意識した改修も実施していく考えだ。駅リニューアル改修は、現在の改修ペースよりも拡充させていくとしている。次期経営計画案は今後、議会説明を経てパブリックコメント手続きを実施、本年度内の策定・公表を目指している。
栄駅では、第2栄変電所の機能を名城変電所に移設する事業が完了。変電所跡地が有効活用できる空間となっている。詳細は今後決めるとしているが、駅務室機能を変電所跡地のスペースに移し、現駅務室空間を民間事業者が活用する空間に改めるのが有力とみられる。駅長室は中改札口と東改札口の中間部にあり、地下街商業施設と隣接した場所となるため、ポテンシャルは高そうだ。
また、栄駅周辺では中日ビルが竣工、24年春に全体開業する他、三菱地所など5社が栄角地(錦3丁目25番街区)の再開発工事を進めており、26年春の完成を目指している。こうした再開発により、栄駅の人流は変わっていくと予想していて、駅リニューアル改修では人流の変化を加味した改修を行っていくとしている。駅リニューアル改修は現計画期間から開始したが、主要駅(名古屋駅、栄駅)リニューアルでは、栄駅が次期経営計画期間で目玉案件となりそうだ。
駅リニューアル改修は、これまでに千種駅で完了した他、上前津駅、名城公園駅で着手している。ただ、開業から50年以上経過しているのはリニューアル改修計画着手時点で、東山線の名古屋駅〜星ケ丘駅と、名城線の市役所駅〜金山駅。後で設置された名城線の久屋大通駅を除く全17駅(東山線11駅、名城線6駅、栄駅は重複してカウント)あり、他駅も今後続々と50年以上になっていくため、現在の改修ペースでは遅いのが実情だ。そこで、次期経営計画期間では、駅リニューアル改修のペースを拡充させる方針としている。目標駅数は、今後確定させていく見込みだ。
次期経営計画では、持続可能な経営を確立(施策4)させるとともに、安全・安心の推進(施策1)を施策の中心に据え、快適性・利便性の高いサービスの提供(施策2)、まちの将来に向けた行動(施策3)に取り組む方針。
主な事業のうち、新規事業は栄駅の総合的な整備(施策3)の他、戦略的な利用促進策の展開(施策4)、地下鉄車両への車内カメラ設置(施策1)、バス車両への安全装置導入(施策1)、子ども・子育てサポートベンチの設置(施策3)、定期券WEB予約サービスの導入(施策2)などを挙げている。拡充事業は可動式ホーム柵の整備(施策1)、地下鉄車両の更新(施策1)、駅リニューアル(施策2)、駅エレベーター整備(施策2)、企業・大学・地域・他部局との連携でまちづくり等との連携強化(施策3)などに取り組むとしている。
提供:建通新聞社