名古屋市観光文化交流局は、名古屋国際会議場の整備運営事業について、機能拡張・運営事業を切り離し、既設改修をデザインビルド方式で実施する方針に改めた。改修工事費は限度額450億8200万円を債務負担行為に追加する11月補正予算案を市会に上程する。デザインビルド方式に改めるが、要求水準書案の公表といったステップは経由せずに一般競争入札を公告する見込みだ。2027年度のリニューアルオープンのスケジュールは変更せず、国際会議場の機能拡張(増築)については、改めて検討するとしている。
デザインビルドの対象は、既設の1〜4号館の改修のみ。併設展示機能等を拡充する5号館(仮称)と、第4立体駐車場(仮称)は今回の事業に含まない。
各館の規模は、1号館は鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート・鉄骨造)地下2階地上7階建て延べ4万2281平方b、2号館は鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て延べ9193平方b、3号館は同造地下1階地上3階建て延べ4093平方b)、4号館(同造地下1階地上3階建て延べ9334平方b)。この他、幕屋根付歩廊、敷地外屋根付き歩廊がある。
市のデザインビルド方式は、PFI方式に準じた手続きをとる。通常は、要求水準書案を公表し、意見を募った後、一般競争入札を公告するが、今回の改修では要求水準書案の公表を改めて行わないとした。このため、予算案の承認後、要求水準書の修正が完了次第、一般競争入札を公告することになりそうだ。
名古屋国際会議場の整備運営事業(PFI事業)は、22年3月に当初公告(予定価格は386億9038万円)をしたものの、同年7月に入札手続きを中止。22年12月に予定価格を483億4447万7273円に見直して再公告したが、6月5日に応札者がいなかったため、入札を再度中止していた。
PFI事業は、本紙が把握しているだけでも東京、千葉で不調が複数発生している。物価上昇や金利上昇リスクが懸念される現況では、20年間という長期契約は、収益事業からの収入が相当以上見込めるのでもない限り、民間事業者がリスクテイクできる範囲を超えているとみた方が良さそうだ。
同市は、国際会議場の新設施設(5号館(仮称)、第4立体駐車場(仮称))や管理運営について、改めて検討するとしている。管理運営は別途契約となるだろうが、新施設は整備するかどうかも含めて検討するようだ。
提供:建通新聞社