富山県建設業協会は21日、高岡工芸高校土木環境科および建築科生徒の保護者との意見交換会を、高岡市中川の同校で開催した。
生徒の進路を助言する立場にある保護者と意見を交わすことで、建設業の役割や現状、若手建設技術者の仕事に理解を深めてもらうとともに、建設業の魅力をPRし、若者の入職促進につなげる目的で開いたもの。
この日は、県土木部建設技術企画課の山田晃課長、県建設業協会から開章夫常任理事・高岡支部長(昭和建設代表取締役)、干場正博常任理事・氷見支部長(干場建設代表取締役)、加藤昭悦専務理事、寺島秀峰課長、同校卒業生の技術者として、塩谷建設の井上遥香氏(建築科卒)と牧田組の小杉航輝氏(土木環境科卒)が参加。保護者は43人が出席した。
冒頭、開支部長が「お子様が建設業に就職した時に、どんな仕事をするのか不安な方も多いと思う。業界全体が働き方改革を含め、しっかり休みを取り、残業も減らし、作業環境をより良くしようと取り組んでいる。DXやICTも駆使し、仕事がしやすい環境を作っているのが今の建設業。本日はお子様の進路を考える上で、少しでも現状をお知らせできれば」とあいさつ。
続いて、加藤専務理事が資料に基づき、建設業の役割、技術者と技能者の働き方、グリーンインフラの普及やデジタル化など建設業界の将来予想を紹介し、「人々の生活がある限り需要はなくならず、今後も重要な役割を果たす産業」と強調。休日の拡充が進んでいる現状、高校生を対象とした建設業協会の活動状況なども説明した。
山田課長は、県が進める主要な施策を解説した上で、「建設業は県民の安心・安全な暮らしを支える地域の「守り手」として、重要な役割を担っている」と強調。
一方、同校卒業生で入社3年目の2人が「富山の建設業に就職して」をテーマに発表。井上氏は「女性の現場監督って格好良い。私もなりたいと思い入社した。弊社では女性の現場監督が7人働いている。建設業は高齢化が進んでいるが、当社の平均年齢は36・4歳。同年代の若手社員が多数活躍している」と紹介し、「現場監督となり、大勢の方と会話する機会が増え、コミュニケーション能力が向上した。多くの方とコミュニケーションが取れることも建設業の魅力。働き方改革により、プライベートも充実した生活を送れている。今後は結婚して子供が出来ても建設業で働き、女性のロールモデルになりたい」と述べた。
小杉氏は入職のきっかけとして、「自分の親も建設業をしており、小さいころから格好良いと思っていたが、この高校に入ったことが一番大きい。高校で得た知識、経験を生かして就職できればと思い、建設業界に入った」と説明し、「現在は現場代理人を務めている。分からないことも多いが、優しい先輩方に教えていただきながら、自分の経験を活かして頑張っていきたい。土木は日常的に当たり前にある物が多いが、半永久的に残るものであり、それがやりがい。担当している現場は週休二日制であり、休日は休暇や趣味に没頭でき、とても働きやすい環境」と話した。
質疑応答では、働き方改革への対応状況について質問があり、開支部長が「建設業は天候に左右される仕事。弊社では、建設ディレクターが現場技術者の書類作成を代わりに行っている。各社で工夫しながら、残業を減らす取り組みを進めている状況」と回答。
資格取得の必要性、資格を取れば仕事の幅が広がり、給料が上がるのかとの問いに対し、井上氏は「(建設業界で)働く際は資格がとても重要であり、取得した方が良い。資格を取る際は勉強が必要なので、仕事の幅が広がる。取得後は給料も増える」と説明。
就職の際は高卒、大卒どちらが良いのかとの質問では、干場支部長が「個人的には進学が良いと思う。大学生になれば自覚も芽生える」、井上氏は「弊社は高卒の比率が高い。現場に出れば理解度も高まる。高卒でも十分やっていける」、開支部長は「本人の意識の問題もある。早く自立したいか、方向性が決まらず大学にいく人もいる。入社後の初任給は違うが、待遇は大きくは変わらない。専門分野の知識を活用し、仕事をするなら進学も良いのでは」とそれぞれ助言した。
また、開支部長は「弊社にも本校の卒業生が在籍している。化学コース卒の社員もいるが、資格を取得し現在は現場代理人を務めている。建設会社では、実際の工事現場で覚えることが本当に多い。昔と違い今は、先輩社員がきちんと教えてくれる」と説明した。
閉会にあたり、干場支部長が「建設業界は、若い方が長く活躍できる魅力ある業界として発展していけるよう、様々な取り組みを進めている。セルフオーダーメイドの仕事であり、はまると飽きがこないのが特長。お子様の進路選択の際は、建設業を検討していただくよう助言をお願いしたい」とあいさつした。