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建設新聞社
2023/10/20

【東北・岩手】県庁舎などの耐震診断結果を公表

 岩手県は、県庁舎の耐震診断結果を踏まえ、改修と建て替えの比較検討パターン案を公表した。知事局棟、議会棟、渡り廊下棟はいずれも耐震改修が必要との結果となり、議会棟は震度6強の地震で倒壊・崩落の危険性が高いとした。
 対象となるのは知事局棟、渡り廊下棟、議会棟。全体でSRC造地下1階地上12階建て、延べ3万7640平方b。1965年に建設した。耐震診断は2022年11月〜23年7月に山下設計が実施した。
 結果を踏まえたパターン案は▽知事局棟および議会棟を改修▽知事局棟を改修し議会棟を現地で建て替え▽知事局棟および議会棟を一体化とした県庁舎を現地建て替え―の3つとし、県庁整備の在り方を精査するとともに、耐震診断や各試算結果を基に改修や建て替えを検討していく。
 知事局棟は、塔屋に補修などを行えば30年程度は使用可能で、震度6強の地震動で局所的に顕著な損傷が生じるが、倒壊の危険性は低い。一方、現行の建築物としての耐震基準および防災拠点としての耐震診断を満たしておらず、耐震改修は必要とされている。
 議会棟は、震度6強の地震の振動および衝撃に対し、倒壊または崩壊する危険性が高い。渡り廊下棟は、倒壊または崩壊する危険性があると診断されている。いずれも現行の耐震診断を満たしていないため、耐震改修が必要となる。
 3棟とも耐震改修が必要であり、コンクリート躯体は一部の補強などにより30年程度の使用が可能と判明したため、改修・建て替えの3パターン案を提示。
 知事局棟の改修は▽制震化構法▽免震化構法(基礎免震)▽免震化構法(1階柱頭免震)―の3構法を挙げた。議会棟は既存壁の増打ち開口閉塞、耐震壁の増設による補強を行う従来構法を想定する。
 概算事業費は知事局棟を制震化構法および議会棟を従来構法により改修するパターンが最も安価となり121〜198億円。最も高いのが知事局棟と議会棟を一体的に建て替えた場合で、563〜581億円となった。事業期間は最短8年、最長で10・5年と試算している。
 今後は、執務室の狭隘改善や会議室の確保、庁内保育施設の充実などさまざまな視点で、県庁舎のあるべき姿を整理し、整備手法や財源、将来的な維持管理のコストなどの検討を進めていく。

 提供:建設新聞社