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日本工業経済新聞社(群馬)
2023/10/16

【群馬】県企業局発電課 天狗岩植野発電所基本設計 早期事業化へ向け評価

県企業局発電課は前橋市総社町植野地内ほかで、新たな小水力発電所の設置に向けた事業性評価を開始した。このほど、天狗岩植野発電所基本設計を八千代エンジニヤリング(東京都台東区)へ業務委託。早期の事業化へ向けた事業性評価に行うため、年度末ごろを履行期限とし基本設計を実施し、事業費を算出していく。
天狗岩植野発電所は、天狗岩用水を活用した水力発電所として、1894年に群馬県で初、全国では5番目の水力発電として配電線による電灯供給を開始した実績がある。電力需要の増加により発電量が不足したため、1907年に休止、12年に地元への電力供給を再開したものの、14年には発電所を廃止した。
小水力発電として活用する天狗岩用水は農業用水として利用され、滝川へと合流するかんがい用水。年間を通して安定した水量があるうえ、主要地方道前橋伊香保線の立石橋下で5m程度の落差が生じており、それらを生かす形で小水力発電所を建設する。発電所の出力としては80kWから300kWの規模が見込まれる。
本年度は八千代エンジニヤリングへ委託した業務において、地質調査や地質解析等調査など行い基本設計を作成し事業費を算出。その結果を受け、事業評価を行ったうえで企業局内部で事業化が決定された場合、予算を確保し詳細設計に取り掛かる。現時点では補助金などの活用は視野に入れていない。
なお、小水力発電所の建設予定場所には、旧植野発電所の取水口の遺構が設置されている。こうした歴史的建造物については、地元との協議を重ねながら取り扱いを決定してく。
同課では再生可能エネルギーの普及促進の一環として、水力を活用した発電所の建設を県内各地で検討している。昨年度は川場村川場湯原地内に川場薄根発電所を新設するため、公募型プロポーザルでヤマト(前橋市)と契約を結んでいる。同発電所の出力は約200kWを見込んでおり、事業費は7〜8億円となる。なお、同発電所の建設工事は2024年度から26年度半ばまでとなる見通しで、運転開始は26年度中を計画している。