富山県建設業協会は7日、南砺福野高校農業環境科生徒の保護者との意見交換会を、南砺市苗島の同校で開いた。
生徒の進路を助言する立場にある保護者と意見を交わすことで、建設業の役割や現状、若手建設技術者の仕事に理解を深めてもらうと同時に、建設業の魅力をPRし、若者の入職促進につなげる目的で開催した。
この日は、県土木部建設技術企画課の若林修主幹、県建設業協会から得能年久理事・砺波支部副支部長(得能建設工業代表取締役)、寺島秀峰課長、同校卒業生から小林稜典氏(砺波工業)と山岸菜摘氏(松本建設)が参加。保護者は22人が出席した。
冒頭、得能理事が「建設業界は大きく変わっている。完全週休2日など働き方改革が進み、年間休日は120日以上になってきている。本日は働く環境が良くなっていること、建設業が生活に欠かせない様々なインフラ整備を担っていることを知る機会としていただきたい」とあいさつ。
寺島課長が技術者の仕事内容、新4Kの推進といった建設業の現状を資料に基づき説明。若林主幹は建設業の重要性を強調した上で、「地域の建設業が将来にわたり活躍することが重要。そのため、働き方改革の推進や若手の確保・育成、魅力の発信を行政と力を合わせて進めている。建設業のやりがいは携わった仕事が後世に残り、地域の発展や安全につながり、自分の仕事が社会に役立っていることが実感できること。誇りある仕事であり、建設業を進路の選択肢の一つとして考えてほしい」と話した。
同校卒業生の2人が、「富山の建設業に就職して」をテーマに発表。入社6年目の小林氏は、「企業見学で雰囲気が良いと感じ、外での仕事をしたいと考えたことが建設業を選んだ理由。現在は利賀ダム関連の現場で、品質・出来形・工程・安全管理を行っている。携わった仕事が目で見て分かるのが建設業の魅力。自分が携わった物を見かけると嬉しい気持ちになる。今後は実力を付けて資格を取得し、社会に貢献できる仕事をしたい」と語った。
同じく入社6年目の山岸氏は、「高校では土木コースではなかったが、現場見学会で大きな構造物や携わっている人達が格好良く見え、建設業の仕事をしたいと思った。弊社は若手の育成に力を入れており、専門的に学んでいなくても安心して入社できる職場。若手や女性技術者も増え、働きやすい環境づくりが進んでいる。有給休暇も取りやすく、仕事と育児の両立がしやすい。現在は土木施工管理技士の取得に向けて勉強をしており、現場代理人として、一つの現場を完成させるのが目標」と話した。
質疑応答では、発表した2人は大卒または高卒で就職したのかとの質問があり、2人とも高卒であることを伝えた上で、得能理事が「高卒で地元企業に就職する人は多く、企業間の競争も高い。仕事はやりがいが大切。働き方改革や完全週休2日が進み、待遇面も手厚い。高卒と大卒では初任給が異なるが、大学相当の4年間で昇給するので、大きな違いはない。就職後は学歴よりも資格の有無が重視される」と説明。さらに「仕事を進める上ではコミュニケーションが大切。発注者や下請けなど、色々な人とやり取りをする仕事。資格取得や教育訓練は企業がフォローする体制が整っており、安心してほしい」と訴えた。
若手の離職率に関する質問では、事務局が「会員企業を対象とした調査では、採用後3年間で約3割程度が離職している。離職理由はなかなか調査できないが、ミスマッチもあるかもしれない」とし、得能理事が「どの業界も採用者が100%残ることはなく、離職する人は出てくる」と補足し、「働きがいのある業界であり、この機会に興味を持っていただければ」と述べた。