愛知県は、名鉄新安城駅周辺の鉄道連続立体交差化の事業化に向けて、新たに2024年度から測量や概略設計などの調査業務に着手することを明らかにした。10月3日に行われた愛知県議会9月定例会議本会議の一般質問で、今井隆喜議員(自民)が連続立体交差化の事業化の取り組みについて質疑を行い、大村秀章知事が「安城市と歩調を合わせ、来年度から新たに新安城駅周辺の連続立体交差化の調査に着手する」と新安城駅周辺のまちづくりを支援する姿勢を示した。県では、事業化の検討に向けて、24年度から、線路沿線の地形の測量調査、ボーリングによる地質調査、踏切の渋滞調査などの現況調査とともに、鉄道高架の概略設計を行い、併せて、まちづくりの検討課題を調査する考えだ。
今井議員は、新安城駅周辺の現状として、「平面駐車場など低利用地や空き家・空き店舗が散見され、駅周辺としてのポテンシャルが十分生かされていない」こと、「駅北側の駅前広場が朝にはバスなどの車両であふれている」こと、「駅西側には、時間帯によっては1時間のうち40分以上閉まっている開かずの踏切≠ェある」こと、「名鉄名古屋本線と名鉄西尾線により駅周辺が三つの区域に分断されている」状況を説明。その上で、鉄道の高架化検討を求める提言書や駅周辺市街地整備などの要望書が提出され「事業化への機運が高まっている」とし、新安城駅付近における鉄道連続立体交差化と駅周辺のまちづくりに対する県の考えをただした。
大村知事は、安城市は「西三河の重要な一翼を担う地域」であり、三河安城駅周辺やJR安城駅、名鉄新安城駅周辺を含めた中心市街地が魅力と活力をさらに高め、大きく飛躍をしていくためにも、「新安城駅周辺の新たなまちづくり、交通流の円滑化は解決すべき重要な課題」と位置付け、「県として、地元の安城市が今後進める新安城駅周辺のまちづくりの検討と歩調を合わせ、来年度から新たに新安城駅周辺の連続立体交差化の調査に着手する」と事業化の検討に着手する考えを示した。
また、坂田一亮都市・交通局長は、安城市がまちづくりを検討していくことについて、「県としても、市町村まちづくり支援窓口を通じて、技術的な助言を行うなど積極的に関与をしていく」と支援する姿勢を示した。
新安城駅付近の鉄道連続立体交差化に向けては、7月に開かれた「安城市都市基盤整備事業促進要望会」で、安城市から県への要望事項の一つとして、鉄道高架事業(新安城駅周辺)を初めて盛り込んだ。名鉄の名古屋本線と西尾線の鉄道高架化を要望するもので、県側が、調査などについて前向きに検討していく趣旨の回答をしていた。
提供:建通新聞社