松山市は、PFI事業(BTO方式)を導入予定の斎場再整備事業について、2024年2月に事業内容や事業者募集の概要をまとめた実施方針などの公表、4月に特定事業の選定を経て入札説明書などの公表を行い、11月中の事業者選定を行う事業者選定スケジュール案を示した。事業に関心のある民間事業者を対象に9月28日に開催した官民対話の中で明らかにした。官民対話の内容は実施方針の他、設計・建設・維持管理の条件となる要求水準書にも反映させる。
官民対話は民間事業者が参画しやすい適切な公募条件を検討するため開催。当日は設計事務所、建設企業、葬祭業者、金融機関などさまざまな業種から50人が参加した。市は▽ライフサイクルコストの縮減▽民間事業者の知見やノウハウの発揮▽大規模災害への対策・対応―を特に重要視し意見を求めた。
参加者からは「PFI導入可能性調査での設計監理費の算出方法で、待合室を文化交流施設、炉室を生産施設とするなど別々の類型の略算方式を用いているが、これは単一な用途の建築物には不適切。事業参画が難しくなるので今後見直してほしい」「SPCで燃料や電気の調達に関する提案は可能か。またCO2削減提案を適切に評価できる仕組みづくりを整えてほしい」「建設費の高騰は無視できない要因。コストありきの事業になれば参画は困難になる。民間の知恵(提案)が適正に反映できるような事業にしてほしい」といった意見があった。
市斎場の再整備は、将来の火葬需要の増加や既存斎場の老朽化、利用者のニーズの変化などを踏まえ、現斎場(食場町乙11ノ9)の敷地南側を造成して確保した約8200平方bの敷地に、火葬炉14基を備えた新斎場を建設する。待合室14室、告別収骨室7室、更衣室、授乳・オムツ交換室などを配置した延べ床面積4800〜5800平方b程度の規模を想定している。完成後に旧施設を解体し、跡地9306平方bを駐車場などに整備する。造成は市が23〜25年度で行う。
造成工事費などを除くイニシャルコストは約63・5億円。PFIアドバイザリー業務はランドブレイン(東京都千代田区)が担当。市はBTO方式として、25〜27年度の3年間で施設建設(完成直後に所有権移転)、28〜47年度の20年間で維持・管理・運営(既設解体・跡地整備含む)を事業者に求める。
当日は官民対話の他、「地域企業がPPP/PFI事業に参画する意義とは」をテーマにした講演やPPP/PFI事業として斎場再整備を実施している全国の事例紹介なども行った。
提供:建通新聞社