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日本工業経済新聞社(群馬)
2023/09/29

【群馬】群建協 経営悪化5割超える パンデミック影響を調査

群馬県建設業協会は29日、「パンデミックが建設業におよぼした影響に関するアンケート調査」の結果を公表した。新型コロナ感染症の拡大前と比較して、経営状況が「少し悪くなった」「悪くなった」と回答した企業が5割を超える結果となった。その要因として「資材・燃料価格の高騰」や「人材不足」が上げられた。青柳会長は「設計労務単価のさらなる引き上げや、働き方に合った積算基準の見直しが必須」とし「さらに踏み込んだドラスティックな政策展開を」と期待を込めた。(3面にアンケート結果掲載)
アンケートは、新型コロナウイルス感染症により3年間停滞していた社会経済活動が5月に5類へ移行したことにより、社会が急速に正常化して約4カ月が経過したことを受け、パンデミックがおよぼした建設業への影響について、会員企業に調査を実施したもの。
青柳会長は「コロナ前より悪くなった企業が多くなったのは想像通りだが、コロナ禍で何も取り組みを進めなかった企業が約3割もいて、変化に対応しない、できない地方の中小建設業の特色が出た結果となった」と分析。また、「コロナ後の建設業における大きな課題は、価格高騰と人材不足。これは、身近な社会経済活動でも課題となっており、国として取り組む必要があると思う」と訴え、「建設業における人材不足に関しては、設計労務単価のさらなる引き上げや、働き方に合った積算基準の見直しが必須である」とし「さらに踏み込んだドラスティックな政策展開も期待している」とコメントした。
アンケートでは、「新型コロナ感染症の拡大前である2019年と比較して現在(9月時点)の会社の経営状況」について質問。「良くなった」「少し良くなった」と答えた企業が合わせて1割弱だったのに対し、「少し悪くなった」「悪くなった」と回答した企業が約53%と半数を超えている。その要因として「資材・燃料価格の高騰」「公共事業の受注量の減少」「人材不足」が上げられた。
「5類に移行してからの4カ月間で、特に顕著となっている主な課題」の問については、「資材や燃料の価格高騰」と「人材不足」の2つが多い状況となった。
「新型コロナ感染症の影響により、会社での取り組みが進んだ主な事項」としては、「特に進んだ取り組みはない」と回答した企業が26%もあった。一方、取り組みが進んだ事項は多様な状況となっており、「賃金アップ」「時間外労働の短縮」「デジタル化」「人材確保、育成」を進めた企業が多かった。
「会社の現状と進んだ取り組みを考慮した今後の会社について」の質問では、「ある程度厳しくなる」「厳しくなる」と回答した企業が49%と約半数に迫る数字。今後、経営が厳しくなる要因として、「人材不足」「資材・燃料の価格高騰」「公共事業の減少」をあげている企業が多かった。一方で、「希望が持てる」「ある程度希望が持てる」と回答した企業は16%に上った。
「厳しくなる要因を取り除くために、国、県、市町村に望むこと」との質問では、「公共事業費の増額・安定的な確保」「資材や燃料の価格高騰を転嫁しやすい仕組みづくり」「設計労務単価の引き上げ」「現場の働き方に合わせた公共工事積算基準の見直し」といった回答に数字が集まった。
追加質問として行われた「建設業以外で感じていること」については、懇親会の増加、観光地の混雑、祭りなどの地域活動の復活が上位を占め、社会経済活動が正常化・本格化してきていることが分かる。一方、新型コロナウイルス感染症の再拡大を心配している人も数多く存在。また、ホテルや飲食店の値上がりや大きな買い物を控えるなど物価高を実感している人も多かった。さらにタクシーや代行の不足や、地域活動の減少や高齢化などさまざまな場面で人材不足を感じている人が多い状況となった。
調査は8日〜15日、追加質問は12日〜20日に群建協本部会員全社である268社を対象に実施。回答社数は224社(回答率83・6%)、追加質問228社(85・1%)となった。