佐藤工業の第93期定時株主総会は26日、富山市の本店で開き、2023年6月期の事業報告などが決議された。
第93期は建築工事の売上高増加を受け、連結および個別(単体)ともに増収増益となった。
連結子会社7社を含む決算(連結)によると、売上高は前期比29・4%増の1573億円。利益は売上総利益が同18・7%増の104億円、営業利益が11億円(前期マイナス4億円)、経常利益が同27・0%増の22億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9・8%増の14億円だった。
また、個別の決算は、受注高が同17・4%減の1516億円。内訳は土木783億円(前期実績986億円)、建築718億円(同833億円)、兼業14億円(同16億円)。比率は官庁52・0%、民間48・0%。特命比率が45・0%。売上高は同33・9%増の1467億円で、建築では前期の558億円から874億円に大きく増えた。売上総利益は同25・3%増の95億円、営業利益が前期同額の9億円、経常利益が同43・6%増の19億円、当期純利益が同20・7%増の13億円。
一方、第94期の事業計画(連結)は、売上目標を対93期増減比21・9%増の1918億円に設定。利益は売上総利益が同21・0%増の126億円、営業利益が同147・1%増の27億円、経常利益は同17・5%増の26億円に定めた。
個別は、受注高が同4・9%増の1590億円、売上高が同21・3%増の1780億円、営業利益が同153・1%増の24億円、経常利益が同12・0%増の22億円と増収増益を見込んだ。
26日発令の役員人事は次の通り(敬称略)。
▽取締役(非常勤) 富田清一(川田建設常務執行役員プレキャスト本部長)▽専務執行役員営業担当 七條牧生(常務執行役員営業担当)▽取締役兼常務執行役員(事業開発統括部長兼建築事業担当) 勝山正昭(取締役常務執行役員建築事業本部長)▽常務執行役員大阪支店長 脇田和久(執行役員大阪支店長)▽同東北支店長 塩崎貴章(同東北支店長)▽同土木営業担当 桑原嗣(同土木営業担当)▽同北陸支店長 川島康広(同北陸支店長)▽執行役員建築営業担当 廣橋亙(同名古屋支店長)▽同 島田潤(顧問)▽執行役員建築事業本部長 中野慎吾(建築事業本部建築事業企画部長)▽執行役員名古屋支店長 増井義人(建築事業本部副本部長)▽執行役員社長室長代行兼経営企画部長 福嶋篤志(社長室副室長兼事業戦略推進部長)▽執行役員土木営業担当 藤川保(土木事業本部副本部長)
利益が確保できる態勢を/桜木町再開発、実現へ協議中/平間社長
株主総会後、本店で4年ぶりに開かれた記者懇談会には、平間宏代表取締役社長をはじめ、川島康広常務執行役員北陸支店長、高橋建夫執行役員社長室長、福嶋篤志執行役員社長室長代行兼経営企画部長が出席し、決算概要を説明した。
平間社長は決算を振り返り、「前々期は建築の受注減で売上が相当落ち込んだが、前期は売上高が上がった。現在はコスト高、設備業者などの人手不足でコスト削減は厳しいが、建設需要は上向き加減と感じている」と述べた上で、「民間工事では、物価急上昇分のコストをなかなか認めてもらえない。契約時に様々な交渉を行い、利益の確保を図りたい」との意気込みを語った。
23年6月期から3カ年の第7次中期経営計画では、「利益が確保できる態勢を取ることが重要。来期は得意分野の工事を中心に受注したい」とし、需要が見込まれるリニューアルについて、「川田建設からプレキャスト本部長を取締役に招いた。高速道路の床版取替工事の増加が想定される。川田建設と一緒に受注し、経験を積み、利益が上がるようにしたい」との考えを示した。
発祥の地・富山での営業方針として、「建築はPFIを中心に取り組んでおり、土木でもPFIがあれば参画する。小水力の計画も増やす」と述べ、北陸支店が事務局の富山市桜木町地区第一種市街地再開発事業に関し、「再開発組合で毎週協議をしており、実現に向け馬力を上げている。立地も良く、どういう建物を造るか、みんなで考えている」とした。