京都市は25日、下京区の京都市立芸術大学新キャンパス隣接地(将来活用地)の活用に係る契約候補事業者として、大阪ガス都市開発ら3者で構成するコンソーシアムを選定したと発表した。
対象の市有地の新キャンパス隣接地(将来活用地)は、河原町通の側道に面した敷地面積4002・10u(仮換地地積。京都市下京区下之町21−1ほか52筆。崇仁北部第二地区土地区画整理事業施行中)で、東西に細長い形状の土地(東西で最大約120m、南北で最大約34m)。
用途地域は商業地域で、指定建ぺい率は80%、指定容積率は600%。高度利用地区による容積率(京都駅周辺地区・A地区)は、誘導用途(店舗、飲食店その他これらに類するもの、事務所、ホテル、旅館、病院、診療所、学校)とする場合は「プラス100%」、一時滞在施設を確保する場合は「最大プラス100%」。高さ規制は31m第1種高度地区。
市は公募型プロポーザル方式で活用事業者を選定。応募のあった3事業者について審査の結果、共創HUB京都コンソーシアムが最も高い104・62点(120点満点)の得点だった。
契約候補事業者の共創HUB京都コンソーシアムは、代表構成企業が大阪ガス都市開発梶iDaigasグループの中でライフ&ビジネスソリューションを担う中核企業として、京都リサーチパーク(KRP)の開発実績も有するデベロッパー)、構成団体が京都信用金庫、学校法人龍谷大学。
同コンソーシアムの提案内容は、「『集い』『暮らし』『挑戦し』『創る』が有機的に循環する共創型のエコシステムとして、社会課題解決につながる産業創出やコミュニティ形成、人材輩出を促進するイノベーションハブ拠点の整備・運営」。貸付希望期間は60年間。貸付希望価格は2470万円(年額)。貸付価格を最大50%減額する減免措置の申請はなし。
延1万3000uの複合拠点建設
1〜4階は京信、龍大のハブ拠点
5〜8階は学生寮、賃貸マンション
計画によると、将来活用地に延約1万3000uの複合拠点を建設する。
1〜2階は京都信用金庫の交流共創拠点「京信 QUESTION 京都駅前」で、1階にカフェ、コンビニエンスストア、日本インド文化経済センター、2階にスタートアップ支店、QUESTIONラウンジ、シェアハウスの機能を備えた拠点を配置。また1〜2階にル・コルドン・ブルー(料理学校)、1階に寺田倉庫(アートギャラリー)を誘致する。
3〜4階は龍谷大学の「龍谷 Unlimited Lab」で、3階に多目的ホール、コモンズ、演習室、ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター、4階に教室、演習室、交流ラウンジを置き、地域社会と価値共創を行い、新しい役割を担う大学のキャンパスとする。
5〜8階は交流型住宅とする。5〜6階は入居者と交流できるカフェラウンジやキッチンを備えた、集い住まうことができる学生寮、7〜8階は共用リビングや共有ラウンジをはじめ、充実の共用部が用意された入居者同士の交流・つながりを付加価値とする賃貸マンション。
契約候補事業者選定委の講評によると「市が公募にあたって掲げたSDGsの実現と文化芸術都市・京都の未来を共に創造・発信する交流共創拠点というビジョンに見事に合致」「金融機関×大学×デベロッパーである拠点事業者は、京都のまちを更に良くしたいという高い志と使命感に燃え、熱意と意気込みに満ち溢れており、京都市の想定を超えた展開も十分に期待できる」「中央広場等での文化・食育イベントの開催、子ども・学生向けにVIVITAが手がける『ものづくりプログラム』、伝統工芸との共創をはじめ、気軽に文化に触れ、多様な人々が交流し、京都に根付く文化を受け継ぎ、新たな価値を創造する場として、豊かな未来につながる展開が期待できる」「KRP(京都リサーチパーク)とも連携したQUESTIONや大学施設での創発活動、リカレント教育など、『知が集うオープン・イノベーション都市』の実現に資する提案」「中央広場に加え、高倉通からのサブエントランスやカフェ・コンビニ等の利便施設を設置するなど、地域住民や京都芸大生をはじめ広く市民等が立ち寄り、長く愛される場所・拠点を目指している」などを評価した。
契約候補事業者への要請事項として、建物の機能やデザイン面においても、引き続き計画内容の向上を図り、「文化芸術都市・京都」の新たなシンボルゾーンの創出を目指す京都駅東部エリアの魅力を形成・象徴し、人々を惹きつける魅力的な建物となることを期待したい等を挙げた。
今後は、基本協定を11月頃に締結。事業計画や契約条件の詳細について契約候補事業者と協議のうえ、貸付契約(60年間の一般定期借地権設定契約)を締結する。