建通新聞社(東京)
2023/09/25
【東京】都 中央図書館を建替えへ
東京都教育庁は中央図書館(港区)を建て替える方針だ。老朽化への対応に加え、デジタル化の進展と社会情勢の変化などを踏まえた施設を整備したい考え。現在は有識者委員会で機能やコンセプトなどを議論している段階。10月中旬にも有識者委員会から意見の取りまとめを得て、庁内での検討を深度化した上で、基本構想の立案作業に乗り出す見通し。
中央図書館は港区南麻布5ノ7の有栖川宮記念公園内に立地。鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄筋コンクリート造地下2階地上5階建て延べ2万3196平方bの規模で1973年1月に開館した。国内の公立図書館では最大級の約225万冊(うち開架約35万冊)を所蔵しており、地下に書庫、地上階には閲覧室(約900席)や企画展示室、多目的ホール、カフェテリアなどを設けている。
老朽化が進んで雨漏りや冷暖房の不調などが発生している状況。DXや少子高齢化、在住外国人の増加といった社会情勢の変化への対応も求められていることから、建て替えで対応する方針を固めた。
都立図書館は中央図書館と多摩図書館(国分寺市、2017年1月開館)の2館がある。これらの将来の在り方を描くため、有識者の検討委員会が21年3月に報告書をまとめた。
それによると、@デジタル技術を駆使したサービスの充実Aデジタル資料を含む特色あるコレクション・利用促進B東京の図書館ならではの施設・運営の追求―を唱えて、新しい機能を検討するよう都に求めている。
これを受けて23年度に新たに有識者委員会を設置し、中央図書館に絞って議論をスタート。5〜10月の全4回の会合を通じて新たな図書館の機能・役割やコンセプトを方向付けていく。
ハード面に関しては、蔵書のデジタルデータ化が進む中で、建物自体の魅力と存在意義をいかに高めるかが論点の一つ。委員からは、これまでに「観光客を呼び込めるインパクトのある建物」や「ロボットやセンサー技術、AI技術を導入したスマートビルディング」、「有栖川宮記念公園という緑に囲まれた立地を生かした空間づくり」などのアイデアが挙がっている。提供:建通新聞社