県スポーツ振興課は、3月から進めていたPFI導入可能性調査の結果、新県立体育館の整備・運営にBTО方式(建設・所有権移転・維持管理)を導入する方針を9月県議会の産業観光委員会で示した。アリーナや体育館のイメージなどを盛り込んだ新県立体育館の基本計画(案)も公表、議会終了後は速やかにパブリックコメントを開始し、11月の成案化を目指す。
新県立体育館は、現体育館が令和10年に目標使用年数の60年を迎えるため、スポーツ科学センターの機能を統合した新施設として建設するもの。バスケットボールの新B1(Bリーグプレミア)基準を満たすためアリーナのほか、飲食や談話ができるスイート(個室)とラウンジ、常設の売店など新たな機能を設ける予定で、10年秋の開館を目指している。
事業は、財政負担や民間の創意工夫などにおいて優位性があることから、PFI手法による整備・運営・維持管理を前提としていた。PFI導入にあたり可能性調査を実施した結果、整備した民間業者が公共施設等運営権を取得して自由度の高い運営を行うコンセッション方式より、参入のしやすさやスケジュールの観点からBTО方式(建物完成後に所有権を公共に移転し、運営を一定期間、整備した民間業者が行う)を選定した。
委員会ではこのほか、約190億円としていた全体事業費の内訳も示した。初期備品購入費を含む建物建設費を167.9億円、緑地や遊具、駐車場などの造成・外構費を15.9億円、設計・監理費を6.6億円とし、施設整備費の合計は190.4億円とした。施設規模は建築面積10,000u程度、延べ床面積17,000u程度。アリーナはすり鉢状の観客席にし、プロバスケットボールの興行時は6,000人以上の観客を収容することを想定している。
委員会では議員から、「県産材(秋田杉など)の使用を整備に求めるのか」「秋田市の駐車場は無料なのに、県が整備した駐車場を有料にすれば、公園内の各施設を利用する人々が駐車場を利用しにくい状況にならないか」などの声があがった。県は県産材の使用について、事業への参入が難しくならないよう、要求水準書に盛り込む内容とのバランスを取りながら考慮するとした。
駐車場については、建設地である八橋運動公園内に秋田市の施設・駐車場もあることから、施設ごとの駐車場を県民に利用してもらえるよう対策がとられるだろうとした。また、有料化に関しては、秋田市から「県の駐車場整備の方針を踏まえながら、有料化も含め駐車場の今後の在り方を検討すると聞いている」とし、県の整備方針に変更はないとした。
提供:秋田建設工業新聞社