鴨川市は、太尾866―1に所在する総合運動施設の整備計画を明らかにした。野球場の改修事業費約9億5800万円、陸上競技場の第3種公認更新改修事業費約2億7100万円、陸上競技場観覧席の屋根改修事業費約5500万〜2億1900万円を試算している。また、長谷川孝夫市長は、(仮称)多目的施設建設事業用地について「将来、必ず役立つ市民共有の財産との認識の下、抜本的な活用方策については市民ニーズや意見などを踏まえながら、都市公園化の方向性を含め、総合的に検討していきたい」との考えを示した。
野球場の主要な工事内容は、内外野グラウンド、防球ネット、フェンス、スタンドベンチの整備、1塁側および3塁側観戦スタンドのスロープ設置、スコアボード、バックスクリーン、ダッグアウト、スタンドの手すりや床面、その他スタンド建物の一部の改修。基本設計業務は、2022年度に真建築設計事務所が手掛けた。
防球ネット整備費4億円以上、スコアボードの改修費約1億7000万円を含め、総事業費約9億5800万円を試算。老朽化対応による安全確保や、グラウンドなど競技・練習に影響する箇所の整備などを優先し、段階的に進めていく。
陸上競技場については、25年3月末の日本陸上競技連盟による第3種公認更新期限を見据え、検定員を招き事前調査を実施。トラックレーン幅の変更(1・25m→1・22m)に対応するためのウレタン舗装のオーバーレイによる張り替えに加え、バックストレート側の走り高跳び走路と走り幅跳び助走路を含むインフィールドのウレタン舗装の摩耗や経年劣化に伴う張り替えなどの必要性が指摘された。
事業費に約2億7100万円を見込んでおり、スポーツ振興くじ助成金を充てたい考え。公認更新期限までに整備を完了できない場合は、最長1年の検定延期を申請する。
陸上競技場観覧席の屋根は、19年9月の台風15号で被災し、両翼の膜屋根が破損している状況。22年度に改修工事基本設計業務を榎本建築設計事務所に委託。改修方法について▽屋根の全9スパンのうち、中央3スパンの梁の塗装塗り替えを行い、膜屋根を交換し、その他のスパンを撤去▽屋根の全9スパンの梁を補修し、膜屋根を新設▽梁を溶融亜鉛メッキ仕様のパイプトラスに交換し、膜屋根を新設▽梁を溶融亜鉛メッキ仕様のH型鋼に交換し、膜屋根を新設▽梁を溶融亜鉛メッキ仕様のH型鋼に交換し、膜屋根をガリバリウム鋼板に変更――の5案が挙げられた。
事業費の見込みは約5500万〜2億1900万円。なお、現在の躯体を残す工法の場合、工事費は抑えられるが、5年程度ごとに塗装塗り替えが必要となる。現在の梁を撤去し新設する場合は、少なくとも約20年間、維持管理コストがかからないメリットがある。
文化体育館については、全体的な改修を行う時期を迎えている。修繕箇所の整理と概算工事費の算出を検討しており、今後、建築士などによる劣化度等調査を含む基本設計を委託することになる。
サッカー場の西側に隣接する(仮称)多目的施設建設事業用地の敷地面積は9427u。体育館やホール機能を併せ持つ(仮称)多目的施設の建設を計画していたが、17年3月に事業実施の見送りが決定された。その後、当面の有効活用策として芝生公園に整備する方針が示されたが、具体的な方針を示すには至っていないことから、引き続き検討を進めていく。