次の道路整備構想となる新広域道路交通ビジョン・計画の実現に向け19日、県議会でも質疑が交わされ、角野毅議員(自民党、鹿屋市・垂水市区)は構想路線の錦江湾横断道路について質問した。塩田康一知事は「安全を踏まえた建設等の技術的な可能性など総合的に検討していく必要がある」と現状を説明。また、2020年度にコロナ禍で見送った交通状況調査は前田洋一総合政策部長が「今後の検討状況を見極めながら、同調査を繰り返し行う必要が生じないよう実施時期を検討する」と答弁した。
同道路は、21年度に策定した鹿児島新広域道路交通ビジョン・計画で路線の起点や終点を含め具体のルート等が決まっていないものの、将来、高規格道か一般広域道路として役割が期待される構想路線に位置付けた。
これまでも、錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査(PFI等導入可能性調査)を実施したほか、結果を踏まえ国や鹿児島市、鹿屋市、垂水市と意見交換や勉強会を実施し課題等の認識・共有を図っている。
今後の方針について塩田知事は「社会経済情勢の変化、半島間の往来の程度、事業の採算性、国の協力方針、火山活動や地震に対する安全を踏まえた建設等の技術的な可能性、関係自治体や県民の意向、県議会での議論を踏まえ総合的に検討していく必要がある」と締めくくった。
同道路関係では、PFI等導入可能性調査を09〜11年度に実施。その結果、「鹿児島〜桜島間」の「トンネル」が望ましいとの結論を得て、可能性のある事業手法はPFI手法等まで視野に入れ検討を行い、財政負担の観点からの実現可能性を確認した。
また、20年度には、前回調査時(09〜11年度)から東九州自動車道や大隅縦貫道などの高速交通ネットワークの整備が進み、交通量の変化が生じているほか、人口減少や近年の自然災害を受けて国土強靭化が進められるなど社会経済情勢が変化したことから、交通状況調査を行うことにしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大等により調査を見送った経緯がある。
前田部長は「実現には県全体の機運醸成が大変重要と考えている。まずは、関係機関との間で同プロジェクトの必要性や課題解決に向けた共通理解を深めることも大事。引き続き、関係機関と意見交換、情報収集に努めたい」と付け加えた。
■垂水南之郷線大野原工区
早期に工事着手
角野議員は垂水南之郷線の整備状況についても質問した。
安原達土木部長は「おおむね2車線改良済みだが、垂水市大野原地区は幅員が狭く、線形不良で見通しが悪い約1.3kmの区間を21年度、大野原工区として事業着手した。23年5月に地元で事業説明会を行い現在、詳細設計や道路周辺の国有林に係る関係機関との調整を進めている。できるだけ早い時期の工事着手に努める」と説明した。