災害復旧事業におけるDX推進を 九州地整の房前専門官らが講演 災害復旧事業におけるDX推進を図ろうと県土木部河川課が12日、関係団体らと初の勉強会を開催した。会には、▽(一社)長崎県測量設計コンサルタンツ協会(安部清美会長)▽(一社)長崎県建設コンサルタント協会(谷川達夫理事長)▽(一社)長崎県地質調査業協会(鳥羽美幸理事長)―の3団体から16人が参加。官民が一丸となってさらなる技術向上と業務効率化・働き方改革を目指した。
会では、九州地方整備局インフラDX推進室の房前和朋建設専門官が、デジタル技術を活用した災害査定を講じたほか、県内における災害復旧時のⅮ]活用事例を共有するなどし、その様子は各協会会員にもオンラインで配信された。
冒頭、県河川課の川田晋吾総括課長補佐が挨拶に立ち、「災害復旧事業の各種手続きや申請等において、官民相互でまだまだ効率化・省力化の余地が残っている」と考え述べ、国が取り組むリモート査定や点群データを活用した被災状況説明などを示した。続けて、「本県においてもこのような取り組みを積極的に推進していくことで、単にデジタル化する技術の向上だけにとどまらず、業務そのものの変革や新しい価値の創出につなげていきたい。そのためには、官民それぞれがアイデアを出し合うことで、災害復旧事業におけるDX推進を実現することが重要である」と勉強会の目的と今後の展望を語った。
九州地整の房前専門官は、災害査定における働き方の改革について講じる中で、「デジタル化できても、働く者の負担が増えるのであればDXとしては無価値」と強調。同局が目指すDXの特徴が▽省力化できる▽使い方を簡単に習得できる▽必要な機材が入手しやすい▽低コスト(もしくは無料)▽従来に比べて工期が短い―など導入しやすく効果が高いこと≠ナあると述べた。
その上で、災害査定のデジタル化における様々な課題(被災状況・箇所の把握、現地調査の安全性確保など)に対応するため実施した鹿児島県・熊本県でのDX査定実証実験の様子や、TEC―FORCEでのDXへの取り組みなどを紹介。ドローン・360度カメラ・点群データなどを活用した査定資料が良好であったことを報告し、「今後は長崎県とも協力して取り組んでいきたい」と話した。
このほか、県内のⅮ]活用事例について県建設コンサルタント協会の小野征一理事兼研修委員長が、平戸市白石地区の山腹崩壊(2020年7月発生)で、協会会員が活用した3D落石シミュレーション技術を紹介。また、県土木部建設企画課の伊木康二主任技師が県土全域の点群データ・オープンナガサキについて説明するなど、官民でデジタル技術の活用とDX推進による新たな価値の創出について学び、意見を交わした。