高知県は9月11日、高知県建設業協会など業界団体と連携して取り組んできた建設業活性化プランの2023年度検証委員会を高知市内で開き、取り組み状況と効果について検証した。
人材確保策の強化として取り組んでいる「出前授業や現場見学会の実施」は予定以上の効果が見られるとしてA評価だった。逆に「県内建設業への就業者を対象とする奨学金支援制度創設の検討」は進んでいないとしてD評価とした。委員会では建設業協会が小・中学校・高校で実施してきた出前授業や土木1日体験の内容や事後のアンケート結果などを紹介した。また、テレビ番組によるイメージアップの情報発信も、実際に動画を見て感想を話し合った。
出前授業は22年度は1地区の実施だったが本年は5〜7月にすでに10市町で行っており、児童生徒に加え保護者へもアプローチしている点などが高く評価された。生徒へのアンケート結果ではドローンや重機の操作体験が刺激になったという声が多かった他、出前授業に参加したことで土木のイメージがずっと良くなった、就職を考える時に建設業も対象に入るなどの前向きな反応が多かった。
意見交換では、外部有識者の委員からは「出前授業は普通高校へも拡大してきたが、定時制や通信制の学校も対象にしてはどうか」「都会の大学へ進学しても、その後地元へ持ってくるような教育が必要だ」「アンケートで建設業に反応が良かった生徒に継続的にピンポイントでアプローチできないか」「人口減少には逆らえないが、本県建設業における女性の割合はまだ約17%。女性の入職にはまだじゅうぶんな伸びしろがある」「給料ももちろん大事だがやりがいがポイントとなる」などの意見が出た。
人材確保策は短期間ですぐに結果が出るものではないため、長期的な視野に立ち、優先順位が低い取り組みや実施困難な取り組みは排除し、優先度の高い取り組みを充実、強化していく。デジタル化による生産性の向上については今後、「デジタル技術を活用した構造物の出来形計測」など、最新のデジタル技術に関する研修を実施し、生産性の向上を図る。このため、現プランの大幅な改定はせず、次期計画期間(24〜26年度)のプランは微修正にとどめる方針。
提供:建通新聞社