建通新聞社
2023/09/08
【大阪】大阪IR 開業時期を1年延期
大阪府と大阪市は、大阪でのカジノを含む統合型リゾート(大阪IR)の開業時期について、当初予定していた2029年秋〜冬ごろから、30年秋〜冬ごろに延期する。9月5日の副首都推進本部会議で実施協定案などを公表した。今後、速やかに国に申請し、認可後に事業者と正式に協定を結ぶ。
開業までの工程が約1年程度延びた。今後、23年度秋ごろに液状化対策工事、25年春ごろに建設工事にそれぞれ着手。30年夏ごろに工事を完了させ、30年秋〜冬ごろに開業する予定だ。
IRの開業時期について府・市は、当初29年秋〜冬ごろを見込み22年4月に区域整備計画を国に申請。しかし、国からの認定が想定していた「22年秋ごろ」から23年4月にずれ込んだため、開業時期の遅れが指摘されていた。7月には大阪府の吉村洋文知事が29年中の開業は困難との認識を示していた。
また、実施協定によると建設資材の高騰などを考慮し、事業者の初期投資額を約1兆0800億円から約1兆2700億円に増額。事業費増加に伴い必要になる追加の資金調達については、中核株主の日本MGMリゾーツとオリックスが出資額を増額し対応する。この他、開業後10年以内に6万平方b以上の展示施設などを拡張整備することや、IR事業の運営体制、事業者側の契約解除権行使期限を26年9月末に設定したことなどを取り決めた。
本部長である吉村知事は、初期投資額が約1900億円増加したことを受け、「それだけIR事業を成功させようという事業者の思いだと思う」と述べ、「指摘されている課題に真摯(しんし)に向き合いながら大阪・関西の経済の発展に向けて世界最高水準のIRを実現していきたい」とした。
また、副本部長の横山英幸大阪市長は、「IRは大阪のベイエリアに新たなにぎわいと経済の流れをもたらす一大拠点となる事業」とした上で、「市としては土地課題への対応がある。所有者の責任として、市が費用を負担する場合もあると思うが、成長のために必要な投資だ」との考えを示した。また、大阪・関西万博との工事調整が重要だとし、調整会議などを活用する方針だ。
事業者は実施協定締結後、カジノ免許の交付を国のカジノ管理委員会に申請することができる。