日本補償コンサルタント協会北陸支部新潟県部会(村越勝部会長)は7日、2023年度「成果品向上のための実務者研修会」を朱鷺メッセで開き、日ごろの業務に生かそうと、公共用地施策の方向性や総合評価落札方式における技術点の重要性などを学んだ。
冒頭、村越部会長は国の公共事業予算に触れながら「年々業務も減少しているが、北陸管内は増加傾向を示している。今後は所有者不明土地など用地業務の複雑化と復興支援業務のニーズが高まる」と話した。22年8月3日の県北地域を襲った豪雨災害では、日本補償コンサルタント復興支援協会(東京)の会員が被災地の生活環境を保全するため、県内で初めて公費解体業務を村上市で実施したことを挙げた。
引き続き、北陸地方整備局用地部の神田範博用地調整官と、小嶋綾子建設専門官を講師に招き、神田氏は「用地補償業務の現状」について、19年東日本台風を例に挙げ「現在、千曲川遊水地の用地買収をしており、県内でも2カ所程度行う予定。災害は発生すると調査関係が増えてくる。今後も協力をお願いしたい」と呼び掛けた。総合評価落札方式の発注状況では、9割超が技術点1位が落札しており「技術点を上げる工夫をしてもらえば、価格点は気にしないでほしい。会社の利益にもつながる」と述べ、さらなる技術力の向上に期待を込めた。また、品質確保対策(低入札)や業務成績(平均評点、優良表彰等)、ウィクリー・スタンス、賃上げ企業に対する加点措置などを解説。小嶋氏は「用地補償業務実施にあたっての留意事項」と題し、品確法における発注者の取り組みや、用地関係業務などを説明し「補償業務は欠かせない。流域治水など新たな取り組み、緊急性が求められる。膨大な土地確保と調査が必要となり、十分な工期を確保していくよう心掛けていく」と理解を求めた。
その後、ナルサワコンサルタントの廣田俊一用地補償部長、県部会の鈴木正明技術委員(同社)が「公費解体の実務」、肥田野拓也技術委員(岩測設計)が「補償システム(テクノ)の取扱い」、川崎貫三技術委員(旭工測量)は「標準書等の質疑事項の解説」をテーマに話した。
研修会はきょう8日まで行われ、新潟県土木部用地・土地利用課の古川拓主査が「用地買収に伴う物件調査の留意点」、補償業務管理士の渡邉清氏が「公共用地取得のための法律知識」について講演する。