建設新聞社
2023/09/06
【東北・青森】検討内容の見直しへ/統合新病院の整備
青森県は、県立中央病院と青森市民病院を統合した新病院整備について、青森市と進めてきた基本構想・計画案の検討内容を全て見直す方針を固めた。4日の囲み取材で宮下宗一郎青森県知事が明らかにした。
県立中央病院と青森市民病院の両病院をめぐっては、ともに築後35年以上で、建物や設備の修繕費用が増加していることや耐震基準は満たしているものの免震構造になっていない。また、医療従事者不足や機能の役割などを見直すため、両病院のあり方について検討を進めてきた。
昨年8月に開催された県議会全員協議会では、病床規模や整備場所、経営形態など9項目をまとめた共同経営・統合新病院整備に係る基本的事項を公表。病床規模は、推計800〜900床程度を見込み、経営形態については、職員団体等の意見を踏まえ、企業団または地方独立行政法人(非公務員型)のいずれかを基本に検討。建設候補地は、@旧県立青森商業高校および県立中央病院敷地A青森県総合運動公園B青い森セントラルパーク―の3カ所を挙げており、今年8月中に基本構想の中間とりまとめを示すとしていた。
宮下知事は、「県立中央病院の役割を考えると、青森市民病院だけでなく、県内の2次医療機関へどのような配慮が必要か考えるべきだ」とした上で、「現時点で、県民の皆さまに提示することはできない」と説明。
3カ所の建設候補地についても、「地震や津波、洪水等により被災する可能性があるエリアに病院を建てるのはふさわしくない」とし、技術によって補えるのか検討するほか、他の候補地の調査などを進めていく方針だ。
また、宮下知事は「800〜900床の病院が実現すれば、青森市内でも最も人が集まる拠点となる。だが、まちづくりへの配慮や病院の跡地の利用などの議論が全く進んでいない」としたほか、「2031年度の開設となっていたが、地域医療構想との関係で、この時期が適切なのか再度検討が必要」との意向を示した。
このほか、同じく県立病院である精神科の「つくしが丘病院」についても取り扱いを考えるとしており、今後、青森市も含め内部で調整し、改めて、具体的なスケジュールを示していきたいとしている。
提供:建設新聞社