建通新聞社(東京)
2023/09/05
【東京】西早稲田駅周辺の再生、年度内にも協議会
新宿区の西早稲田駅周辺地区で街の再生に向けた検討が進んでいる。土地・建物所有者と居住者などで構成するまちづくり協議会が2023年度内にも発足する見通し。並行して東京都では、地区内にある複数の都営住宅を建て替える場合を想定して方針案や都市計画変更素案、手法などをまとめるため、検討業務を9月下旬に委託する予定。23年度末までに成果を得て関係者との調整を進める。
対象は東京メトロ副都心線の西早稲田駅を中心とした面積80f程度。08年に駅が開業してから利便性が向上した一方で、駅の周辺や明治通り沿いには人が滞留できる場所が少なく、耐震化や建て替えが必要な建物も多く立地している。
また、昭和40年代に完成した都営住宅3団地がある他、早稲田大学理工学部や学習院女子大学、国家公務員宿舎などの公共公益施設が集積。戸山公園(開園区域約19f)を含めて比較的大規模なオープンスペースもある。
都は「『未来の東京』戦略」(20年度)の中で、都営住宅の建て替えを契機に周辺のまちづくりと連携したプロジェクトに取り組む方針を掲げている。これを受けて21年10月には西早稲田駅前の土地・建物所有者が参画するまちづくり勉強会(事務局・新宿区)が発足。23年4月までに5回の会合を開き、まちづくりの方向性をまとめた。
具体的には、▽地域資源(戸山公園、諏訪神社など)を大切にした街▽地区の暮らしや活動を支える、誰にとってもやさしい街▽建物の老朽化の課題を解決し、安全・安心に過ごせる街▽―の3点をテーマに決定。今後は、対象者を都営住宅の居住者などにも拡大した上で「(仮称)西早稲田駅前地区まちづくり協議会」を立ち上げ、議論を深めていくく方針だ。
新宿区では、7月に改定した長期計画の中で西早稲田駅周辺地区を「新たな文化・賑(にぎ)わい拠点とみどり豊かな住環境の創出を図るエリア」に位置付けた。
これらの動きを踏まえ、都では都営住宅の建て替えを見越したまちづくり方針案をまとめる。店舗や公共公益施設を併設した住棟がある他、敷地に定められた都市計画の「一団地の住宅施設」を見直す必要などがあるため、公営住宅法令に基づく耐用年限(70年)を見据えつつ都市計画変更の素案やまちづくり手法などについて検討する。
業務の委託先を決める希望制指名競争入札には都市計画・交通等計画A〜C(取扱品目=地域・地区計画)の競争入札参加有資格者から9月5日まで希望申請を受け付けて同月25日に開札する予定。履行期間は24年3月18日まで。
22年度の調査・検討業務をユーマック(台東区)が手掛けた。提供:建通新聞社