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建設経済新聞社
2023/08/31

【京都】流域治水プロジェクト2・0(由良川水系) 河道掘削は現計画の1・5倍

 近畿地方整備局は29日、「流域治水プロジェクト2・0」(由良川水系)を策定し公表した。
 流域治水プロジェクトは、上流、下流、本川、支川の流域全体を俯瞰し、河川整備等に加えて、雨水貯留浸透施設、土地利用規制、利水ダムの事前放流など、あらゆる関係者が協働し、各水系で重点的に実施する治水対策の全体像をとりまとめた取り組み。
 国土交通省は、仁淀川(高知県)など8水系を先行して策定し公表。近畿地整は、近畿の10の一級水系のうち、先行して由良川水系における気候変動を踏まえた河川及び流域での対策の方向性を公表した。他の一級水系についても、今年度中を目途に順次策定し公表する予定。
 ポイントは、@気候変動による降雨量増加に伴う水害リスク(浸水世帯数等)の増大の明示Aこれに対応するため、本川の整備に加え、まちづくりや内水対策などの流域対策の充実及び達成される目標の設定(目標の重層化)Bこの目標を達成するために必要な追加対策等の明示の3点。
 現行の河川整備計画目標洪水に対して、2℃上昇時の降雨量増加を考慮(雨量1・1倍)した場合、近年大規模な外水氾濫を生じた平成25年台風第18号規模の洪水に相当。こうした洪水が発生した場合、由良川流域(国管理区間)では浸水世帯数が約9640世帯(現況の約1・2倍)になると想定されるが、更なる対策の実施により浸水被害を解消する。
 水害リスクを踏まえた目標と各主体の主な対策をみると、目標@気候変動による降雨量増加後のH25洪水規模に対する安全の確保では、国は約9640世帯の浸水被害を解消を目的に、概ね30年で▽河道掘削約192万m3(現計画の1・5倍)▽更なる貯留施設の検討▽既存ダム有効活用に向けた検討等を実施。
 舞鶴市、福知山市は、新たな居住に対し立地を規制し、居住者の命を守ることを目的に、災害危険区域による規制を継続して実施する。
 目標A志高地区における内水被害の軽減(1/10規模降雨の雨水出水による浸水被害を防止)では、舞鶴市は志高地区の内水の排除を目的に、概ね10年で排水施設等の追加対策を講じる。
 流域治水プロジェクト2・0で新たに追加した対策については、今後河川整備計画変更の過程で、より具体的な対策内容を検討する。