富山県建築士会富山支部(飯野美代子支部長)の有志で構成する「かぐてんぼう隊とやま」は、全国防災週間の初日である30日、富山市内で高齢者宅の家具を固定化するボランティアを行った。
蜷川地区センターで行われた出発式には、隊員らが参加。冒頭、蜷川自治振興会の山本繁之会長が、「天災は忘れたころにやってくると言われるが、最近は忘れる間もなく発生している。地震による犠牲では、家具の下敷きや倒れた家具で逃げ遅れるケースも少なくない。これを防ぐには、家具が倒れないよう固定すればいいが、高齢者世帯では困難。当会では平成29年から、かぐてんぼう隊とやまにボランティアで事業を実施していただいている。この活動を通して、防災に対する住民の意識向上が図られ、地域の防災力が高まることを期待したい」とあいさつした。
続いて、飯野支部長が、「当隊は、東日本大震災を機に2015年に富山支部で結成した。今年は、防災週間の由来となった関東大震災から100年目の節目。今年度から、隊の活動自体に県の補助金がいただけるようになり、パンフレットを作成した。今後の啓発活動に使用したい。地震時のけがの30〜40%は家具の転倒が原因であり、家具固定は大切。これまでは富山支部のみの活動だったが、県下に広げていきたい」と話した。
同隊の根塚三起生隊長が、「活動は8年目。県の応援も受け、気持ちを新たにしている。県内に隊の活動や名前を広め、長く続くことを祈念したい」と述べ、「ガンバロー」と出発宣言した。
隊員はその後、高齢者宅4軒を訪問。このうち、布市地内にある木戸繁良さん(88)宅には、富山支部の富樫吉規氏(富源商事)と長越章子氏(鈴木一級建築士事務所)、水葉幸治氏(北電技術コンサルタント)、宮下剛氏(宮下工務店)の4人が訪れ、タンス2カ所をビスで、食器棚2カ所をL型金物で固定化する作業に取り組んだ。火災報知器2カ所も設置した。
作業完了後、木戸さんは「専門的な仕事は値段が高いと思ったが、安いこともあり申し込んだ。最近は地震が多く、家具の固定化が終わり、とても安心している」、富樫氏は「富山県は地震が少ないが、地道な活動を通じて地域とともに防災意識を高めたい」とそれぞれ話していた。