愛知県の建設局など公共工事発注部局が取り組む「ICT活用工事」状況を見ると、2022年度に建設局および都市・交通局が130件となった。農林基盤局が11件、企業庁が2件で、全体では143件となり、前年度の114件を大幅に超えた。23年度の取り組みとして、建設局および都市・交通局が「小規模土工」など5工種を新たに追加するなど、中小建設業者がICT技術を積極的に活用できる環境を整備し、さらなる普及・拡大を図る考えだ。
各局の取り組み状況を見ると、建設局および都市・交通局が16年度から導入し、16年度に4件、17年度に2件、18年度に11件、19年度に21件、20年度に54件、21年度に100件と推移した。これらは対象工種の拡大、総合評価落札方式での評価項目の加点、工事成績への加点などの取り組みで、件数拡大につながった。特に、20年度に「受注者希望T型」を創設したことで、受注者希望型が増加した。「受注者希望T型」の件数は20年度に17件(受注者希望型全体33件)、21年度に44件(同69件)、22年度に35件(同52件)となった。
22年度の制度改正では、「発注者指定簡易型」を創設し、「ICT建設機械による施工」か「3次元出来形管理等の施工管理」のいずれか1項目を選択できるものとしたことなどで、発注者指定型が78件(前年度31件)と2・5倍となり、全体で130件と前年度の1・3倍となった。
23年度の制度改正では、建設局は、受注者希望型の工種に「土工1000立方b未満」「小規模土工」「構造物工(橋脚・橋台)」「基礎工」「擁壁工」の5工種を新たに追加した。併せて、ICT活用工事取組証について、「土工1000立方b未満」および港湾工事の4工種を対象に、「ICT建設機械による施工」を条件として発行することとした。
農林基盤局は、21年7月から農地関係工事を対象として受注者希望型の発注形式により試行を開始した。年度別の実施件数を見ると、21年度は9件、22年度に11件で実施した。23年度からは、農地関係工事に加えて、林務関係工事でのICT活用工事の実施を目指して、関係要領を整備した。
企業庁は、19年10月からICT活用工事の要領(建設局に準じる)を定め正式に導入した(ただし、正式導入以前から一部で先行導入していた)。年度別の実施件数を見ると、19年度が3件、20年度が2件、21年度が5件、22年度が2件となった。23年度は、建設局の改正に準じて、工種を拡大した。
提供:建通新聞社