滋賀県はこのほど、甲賀市水口町三大寺地先の受益面積2・6fを対象に、堤体の補強、緊急放流施設等を改修する「県営西ノ飼戸池地区土地改良事業(農地防災事業・ため池整備事業)」に係る緊急防災工事計画の決定を公告。県甲賀農業農村振興事務所などで計画書の縦覧を開始した。計画では、23年度に実施設計・測量等を進め、24年度に仮設工、25年度は堤体工、洪水吐工改修、取水設備改修を図り、完了は27年を予定。総事業費は、1億9845万円を計上した。
同事業の内容では、取水施設、斜樋型スライドバルブ1孔200_と125_の改修。洪水吐工については、鉄筋コンクリートでの正面越流堰式に改修するもの。対象となる同地区の農業用水源施設は、水口町をかんがいしており、農業経営上欠くことのできない存在である。しかし、築造年代が古く堤体の老朽化、脆弱化が進行し過年度に行われたため池耐震照査では、上流・下流のいずれも堤体における規定の安全率を満たしておらず、今後発生が予想される東海・南海地震などにより決壊する恐れがある。施設においても、取水施設の老朽化や底樋の埋没、緊急放流機能の未整備、洪水吐の断面不足が見られることから改修が必要となり、農地等への被害を未然に防止し農業経営の安定を図ることと、国土の保全に資することを目的として実施する。土地改良における活動として▽農業の営む上で必要な水源の確保▽用水路の整備・監理▽農地からの排水など安全かつ確実に排除するための排水路整備・管理▽農道の整備・管理▽水田や畑地の整備―等。
同地域は、恵まれた地理条件と気象条件に加え、大型消費地である京阪神への供給源として大きな役割を担っている。しかし、一層の兼業化の進行により水田農業を中心に担い手不足が深刻化。老朽化したため池等の農業用施設の維持管理が困難になりつつある。
提供:滋賀産業新聞