JR松山駅東側の中心市街地を含むエリア「松山駅東地域(仮称)」について、都市再生緊急整備地域制度の地域指定に向けた松山市の準備協議会の初会合が8月22日、市役所で開かれた。産学官金の委員が同制度を活用したまちづくりの方向性などについて意見を交わした。2023年度内にあと2回会合を重ね、地域整備方針の素案などを取りまとめる方針。24年度中の指定を目指す。
都市再生緊急整備地域は都市再生特別措置法などに基づき、都市開発事業などを通じて緊急・重点的に市街地整備を進めるべき地域(都市の再生の拠点)として、国が政令で指定する。都市計画などの特例措置が受けられ、民間事業者が行う都市開発などで一定の要件を満たせば税制優遇や金融支援などを受けられる。02年の制度開始以来、全国52地域が指定を受けている。松山駅東地域は3月、準備協議会により都市開発事業などの熟度を挙げる段階に当たる候補地域の設定を受けていた。
準備協議会では都市再生緊急整備地域として政令指定すべきエリア(素案)の設定をはじめ、都市再生の目標・方針となる地域整備方針(素案)の作成、都市再生の質の向上と民間投資の呼び込みに必要な事項の検討などを行う。当日の協議会では、座長に東京大学大学院工学系研究科の羽藤英二教授を選出し、内閣府の担当者が都市再生緊急整備制度について説明。その後は非公開で指定に向けた地域の現状や民間開発の状況、素案づくりに向けた考え方などを市が説明し協議した。
羽藤座長は「道後温泉や松山城などの地域資源の他、伊予鉄道松山市駅前やJR松山駅周辺など多種多様なプロジェクトがある」とし、松山の未来となる素案づくりに積極的な意見を求めた。内閣府の職員は制度を活用した開発事例として、東池袋一丁目地区(提案主体―住友不動産)の都市再生特別地区や、ひろぎんホールディングス新本社ビル建設プロジェクト(認定事業者―広島銀行)の民間都市再生事業計画の事例を紹介。また民間事業者が都市再生事業計画の認定を申請できる事業の規模要件を一部地域で緩和したことにも触れ、現行制度の原則1fから特定都市再生緊急整備地域以外の都市再生緊急整備地域に限り0・5fへと引き下げ、地方都市での地域経済の活性化につながるような都市再生を後押ししていることをアピールした。
事務局の市都市デザイン課によると、市が20年11月にまとめた市中心市街地活性化基本計画(第3期計画)に示す区域面積は約304f。都心地区、松山駅周辺地区、道後地区を中心に構成する区域で、政令指定すべきエリアはこの中から絞り込む考え。
提供:建通新聞社