徳島県は、県環境影響評価条例に基づき、SSEパシフィコ(東京都港区六本木3ノ2ノ1)が提出した、(仮称)美波町沖風力発電事業の計画段階環境配慮書に対する知事意見をまとめた。同社が計画する浮体式洋上風力発電事業に対し、海洋生物や景観への配慮、設備の設計の際には、台風や地震、津波による倒壊への配慮が必要であるとしている。
計画では、1基当たり1万2000〜1万8000`h、最大出力3万`hの浮体式洋上風力発電機を2〜3基、美波町の由岐・木岐漁港南東沖の水深70〜90bの位置に設ける。柱の高さは水面上約140〜190b、風車の直径は220〜270bで計画。同事業が県の条例4条の対象(7500`h以上)となる風力発電所に該当することから、SSEが計画段階で提出した。
県の意見は、同事業が脱炭素化を推進する再生可能エネルギー事業として、先行事例が少ない浮体式洋上風力発電であることを指摘。海面からの高さが300bを超える構造物建設に対し、標識灯、航空障害灯など、景観への考慮を求めている。また、沿岸にはウミガメ産卵地の大浜海岸があること、工事で生活環境や自然環境に影響する可能性、設計の際に台風・地震・津波による倒壊などへの配慮が必要であり、SDGs未来都市に選定された町と漁業関係者との合意形成を図ることを求めている。
現在はアセスメントに向けた初期段階。今後、環境アセスメント手続きに向け方法書、現地調査、準備書、評価書、事業の法律審査などを進める。方法書手続きでは公告・縦覧と説明会が行われる予定で、審査会と市町村意見と知事意見の提出を経てアセスメント方法を決める。
提供:建通新聞社