愛媛県内の1981年5月31日以前の旧耐震基準で建築された庁舎などで、大規模な地震が発生した場合にその利用を確保することが公益上必要な建築物として県が耐震診断の実施と診断結果の報告を義務付けた「要安全確認計画記載建築物」の耐震状況をまとめた。対象となる県の管轄建築物43施設、松山・今治・新居浜・西条市の4所管行政庁管轄建築物38施設のうち、2023年8月までに64施設の対策が完了し、1施設が施工中で、16施設が未対応の状況となっている。
県が管轄する施設は用途別に県庁舎3施設、市役所・町役場8施設、市町総合支所11施設、国土交通省事務所2施設、警察庁舎4施設、消防庁舎10施設、災害拠点病院5施設。このうち8月現在、県の久万高原庁舎、四国中央市の新宮庁舎、愛南町の一本松支所の3施設が未対応もしくは機能移転を行った状況で、その他は対応済み。また久万高原庁舎は既に建て替えの方向で準備を進めている他、新宮庁舎と一本松支所は機能移転を完了し、今後の対応を検討中としている。
松山市が管轄する施設は県庁舎4施設(本館、第一別館、第二別館、議事堂)、市庁舎2施設(本館、別館)、支所2施設(中島、北条)、国土交通省出張所2施設(松山第一国道、松山第二国道)、警察庁舎3施設(本部第二、本部第三、松山東)、消防庁舎1施設(市消防局・中央消防署)。こちらは8月現在、県庁の本館と第二別館、警察本部の第三庁舎と松山東警察署が未対応の状況だが、松山東警察署が建て替え工事中(24年9月完了予定)で、第二別館も建て替えるため解体中。今後は県庁舎本館(Is値0・62)と警察本部第三庁舎(Is値0・37)の対応が注目される。
今治市が管轄する施設は県庁舎1施設(今治)、市庁舎1施設(本館・第一別館)、市総合支所9施設(玉川、波方、大西、菊間、宮窪、伯方、上浦、大三島、関前)、警察庁舎1施設(伯方)、消防庁舎1施設(北消防署大三島分署)。今治庁舎、市本庁舎、玉川・大西・宮窪・伯方・上浦・大三島・関前支所の9施設が未対応で、このうち今治庁舎と伯方支所を除く7施設は耐震改修を予定。また伯方支所は支所機能を移転し建物を取り壊す計画。残る今治庁舎(Is値0・44)の対応が注目される。
新居浜市が管轄する施設は市役所1施設(市庁舎)、警察庁舎1施設(新居浜)、消防庁舎2施設(北消防署東分署、南消防署)、災害拠点病院1施設(県立新居浜)、市総合支所1施設(別子山)。このうち新居浜警察署(Is値0・29)だけが未対応となっている。
西条市が管轄する施設は市役所1施設(本館)、市総合支所3施設(東予、丹原、小松)。市によると、Is値上は未対応となっているものの、いずれもSRF工法(包帯補強)で改修済み。
提供:建通新聞社