名古屋市住宅都市局は、三の丸地区官庁街の今後のまちづくりの在り方を考える検討を開始した。本年度は現況把握をはじめ、今後の議論の方向性を探っていくとしている。検討は初期段階の域を出ていないが、同地区のまちづくりについては、これまでに有識者らで構成する名古屋三の丸ルネサンス期成会の提言(2021年1月)や、中部圏社会経済研究所・名古屋まちづくり公社名古屋都市センターの提言(18年4月)など複数の提言が出されている。再整備の期待が高いエリアだけに、検討の行方に注目が集まりそうだ。
三の丸地区の周辺では、久屋大通公園の再整備をはじめ、名駅・栄地区の再開発、愛知県体育館の整備、名古屋城木造天守復元といった新たな魅力向上に向けた取り組みが進められている。一方で、久屋大通公園北エリアの再整備による人流が三の丸官庁街を越えて名城エリアに広がっていないとの指摘があることも確かだ。
住宅都市局の検討では、三の丸地区を「歴史性のある地区で、現在は中部圏の中枢を担う官庁街である一方、周辺地区との人の流れは限定的な状況にある」とした上で、「更新期を迎えている三の丸地区のまちづくりの在り方を考える必要がある」としている。本年度の検討では、現況を把握した上で、地区の特徴や課題を抽出。まちづくりの在り方検討で、地区の将来像やまちづくりにあたっての基本的な方針検討、民間事業者のヒアリングなどを行い、24年度以降の検討事項を探っていく考えだ。
これまでに出された提言の中でも、名古屋三の丸ルネサンス期成会は、「官公庁機能を維持しつつ、名城地区と栄地区の新たなにぎわいを結ぶ都市機能の導入が期待される」としている。具体的には文化・交流機能の導入、本町通の歴史的町並み整備、地域強靱(きょうじん)化のための拠点整備・連携強化、歴史的建造物(市役所・県庁本庁舎)を活用したホテル・博物館等の整備、名古屋城と久屋大通をつなぐにぎわい創出を挙げていた。
同期成会は、学識経験者、民間団体有志が発起人で、名古屋商工会議所、中部経済連合会、日本プロジェクト産業協議会、中部圏社会経済研究所が賛同団体となっている。
提供:建通新聞社