川崎市は、2019年の令和元年東日本台風で浸水被害があった平瀬川の多摩川合流部に堤防を整備するのに当たって、24年度の工事発注を目指す。最大高さ約4・3bの堤防を延長約1・1`にわたり整備する計画で、先行して1期区間に当たる多摩川合流部から久地1号橋までの延長約700bの工事に着手する。発注方法などは未定で、24年度末の契約を目指して検討を進めている。1期区間の工期は10年程度を見込む。
平瀬川の多摩川合流部(高津区)は流路延長7・5`、流域面積27平方`の1級河川。19年10月の令和元年東日本台風では多摩川が増水した影響で水位が上昇し、流域の約6fが浸水した。今後予測される多摩川の水位の上昇に伴う氾濫に備え、多摩川の護岸の高さに合わせて堤防を整備する。設計は日本エンジニアリング川崎支店(川崎市高津区)に委託して進めており、23年度末の完了を見込む。
多摩川の計画高水位までは耐久性の高いコンクリートで整備し、余裕高に当たる約1・5bは周辺の景観や日照などに配慮してアクリル板を設置する。
右岸側の堤防の高さは1期区間の起点で最大約4・3b、起点から延長180b地点で約3・8b、延長360b地点で約3・4b、延長540b地点で約2・1b、終点で約0・8b。
左岸側の堤防の高さは1期区間の起点で約2・4b、起点から延長180b地点で約3・7b、延長360b地点で約3・4b、延長540b地点で約2・8b、終点で約0・8bを計画している。
コンクリート部分は車両などの衝突を考慮して高さ1・1bを確保する必要があるため、右岸側・左岸側ともに堤防が低い上流側ではアクリル板の設置範囲が小さくなる。
現在の堤防は19年度の台風で浸水被害が発生した当時のピーク水位約1・6bに合わせて、パラペットとアクリル板で暫定整備している。新たな堤防は既存の堤防より川側の位置に整備し、管理用通路を拡幅することで圧迫感を軽減する。
多摩川の合流部から延長約50b付近にある平瀬橋は、堤防の整備に伴い撤去する。完成した後に橋を架け替えるか、代替えのルートを確保するかは今後検討する。
2期区間は久地1号橋から久地2号橋までの延長約400b。1期区間の進捗を踏まえて設計や工事に着手する予定だ。
提供:建通新聞社