日本工業経済新聞社(埼玉)
2023/08/07
【埼玉】埼玉橋梁メンテナンス研究会 第2回技術研修会を開催
埼玉橋梁メンテナンス研究会は、本年度第2回目となる橋梁メンテナンス技術研修会を1日、行田市内のものつくり大学で開いた。当日は、県内の自治体職員や民間技術者、さらに橋梁の維持管理に興味を持つ学生らおよそ50人が参加。鋼橋の耐荷力実験を通して、弾性合成桁の可能性についても理解を深めた。
同会は、県内の橋梁に特化して、維持管理(点検、診断、補修、補強)について広く情報を収集するとともに、その保全施策と技術に対する検討や研究、橋梁技術者の育成を通じて、県内の橋梁保全の効率化に貢献することを目的に2018年に設立。埼玉大学研究機構レジリエント社会研究センター、ものつくり大学、関東地方整備局大宮国道事務所、県土整備部、さいたま市建設局土木部、埼玉県建設コンサルタント技術研修協会で構成している。
研修に先立ち、埼玉大学名誉教授で同研究会の睦好宏史代表は、研究会の設立趣旨や組織体制、当日の研修プログラムを報告。実験については「鋼桁を破壊するまで耐荷して、どのように破壊されるのか実際に見ていただく」と説明した。
研修へと移り、まず埼玉大学研究機構レジリエント社会研究センター長の奥井義昭教授が、実験概要を説明。鋼I桁の座屈を実際に目で確認し、鋼桁の座屈に対する耐荷力の算定方法や座屈設計の基礎を理解するポイントとしてあげた。その後、大学内の建設棟に場所を移し、曲げ載荷実験を行った。実橋の2分の1から3分の1程度の鋼桁の曲げ耐荷力を確認するため、2点載荷の4点曲げ載荷実験を行った。実験結果の説明の中で、床版取替時における事故例をあげ、鋼桁のねじれ座屈や横座屈等に対する鋼桁補強が必要なこと、また、プレキャスト床版と鋼桁との接合部の問題は、弾性合成桁の計算法を適用するなど、合成桁橋の床版取替技術を集約する点を指摘した。
研修の最後に、埼玉県建設コンサルタント技術研修協会の小山一裕会長が、参加者と実験の場を提供したものつくり大学に感謝の言葉を述べた。