東日本建設業保証富山支店はこのほど、2023年度第1回「建設業景況調査」をまとめた。
景況調査は、建設企業の経営動向の調査を行い、建設業の置かれている状況を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務、収益の状況)、経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月に郵送でアンケート調査を行っている。
調査では、同社と取引関係のある建設企業の中から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮し、建設業の経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定。今回の県内回答企業数は60社で、項目ごとに4月から6月の今期(第1四半期)実績、7月から9月の来期見通しを算出している。
第1四半期における項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は、前期と同値であり、悪い傾向が続いている。来期は悪い傾向がかなり強まる見通しで、今後の景気の先行きに対し、悲観的な回答が多い結果となった。
今期の「受注総額」は、減少傾向が続いている。官公庁工事では減少傾向がかなり弱まったものの、民間工事では減少傾向が強まった。来期の受注総額は減少傾向が強まる見込みで、民間工事は減少傾向が続き、官公庁工事は減少傾向が強まる見通し。
「資金繰り」については今期、厳しい傾向が続いており、来期は厳しい傾向がやや強まるもようだ。
今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が続いている。短期借入金は増加傾向が続いており、短期借入金利も上昇傾向が続いている。来期の銀行等貸出傾向は、容易な傾向が若干弱まる見通しであり、短期借入金は増加傾向が強まる見込みだ。
今期の「資材」は、資材の調達で困難な傾向がやや弱まったが、依然困難な状況が続いている。資材価格も上昇傾向が続いている。来期は、資材の調達が今期と同様の基調、資材価格は上昇傾向が弱まるもよう。
今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が強まった。賃金は上昇傾向が著しく強まっており、BSI値31・0は、過去10年の調査結果で最も高い数値を示した。来期は、労働者の確保で困難な傾向が続き、賃金は上昇傾向が弱まるものの、依然上昇傾向が続く見込みだ。
「収益」は今期、減少傾向が強まった。減少理由では、『完成工事高の減少』がトップ。『資材価格の上昇』、『人件費の上昇』が続いた。来期の収益は、減少傾向がやや強まるもよう。
今期の経営上の問題点では、『人手不足』が引き続き1位。以下、『受注の減少』と『従業員の高齢化』が同率で並び、次いで『資材価格の上昇』、『下請の確保難』の順となった。
なお、自社の業況は今期、悪い傾向がやや強まっており、来期は今期と同様のBSI値が見込まれ、悪い傾向が続く見通し。