北陸地方整備局飯豊山系砂防事務所の山路広明所長は7月21日、「いのち」と「くらし」を守る砂防をテーマとした事業概要の説明会を新発田市内で行った。2022年8月3日に県北地域に甚大な被害をもたらした豪雨災害をはじめ、近年の土砂災害発生状況や、砂防施設の役割などを話した。
飯豊山系流域で国の直轄砂防工事が実施される山形県小国町、新潟県関川村および胎内市、新発田市で構成する、飯豊山系砂防促進協議会(会長・仁科洋一小国町長)の総会後に説明。
山路所長は1967年(昭和42)の羽越水害を契機に、69年に荒川工事事務所として発足した歴史を振り返り、その後78年の下越地方を中心に襲った大雨で、加治川と胎内川水系が直轄水系としてこれまでに約200基の砂防施設を整備してきたという。山路所長は22年8月の豪雨災害に触れ、「近年は短時間で猛烈な雨量が観測される。砂防施設のいくつかが土砂災害を食い止めた」と話し、改めて整備効果を説明。その上で、流域治水といった横のつながりによる防災力向上に取り組む考えを示すとともに、「人家や人命を土砂災害から守るのが我々の仕事。皆さんと連携しながら砂防事業を進める」と理解と協力を求めた。最近は土砂だけではなく、流木の量が多くなっているとし「全国的にも流木対策が進み、ソフト対策とともに頑張らなければならない」と決意を新たにした。
また、土砂災害等の被害の伝承も必要だと訴え、「流域の皆さんに砂防事業を分かりやすく説明しないといけない。子どもたちにも土砂災害の恐さと、砂防の役割を伝えていきたい」と話し、防災意識の啓発にも力を入れていく。