2023年度の建設事業関係功労国土交通大臣表彰に、一般社団法人富山県優良住宅協会副会長で山下ホーム社長の山下輝雄氏が選ばれた。長年にわたり建築工事業に精励するとともに、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与した功績が認められた。受賞については「建築工事業に携わる中でレベルアップを図り、後進の指導にも努めてきたことが、周りの方々に認めていただいたのかな」と謙虚に受け止める。
もともと実家が、山間部での仕事を中心とする土木会社を経営していた。高校時の夏休みに現場でアルバイトをしていた際に「自分も将来この仕事を続けていくのかなぁ」と漠然と思い、これをきっかけに建築を志す。大学で建築を学び、建設会社に就職するものの「公共施設の整備に携わっていたが、役所が発注者で、設計事務所が作成した設計図通りに施工するのが物足りなかった」と振り返る。「せっかく1級建築士や1級建築施工管理技士の資格を取りながら、決められたものしかつくれない」というジレンマがあった。
ところが一般住宅は、施主と会話しながら設計図をまとめ上げ、現場監督もしながら完成に立ち会える。「お客様の喜んだ顔も直接見ることができる」と、一念発起し山下ホームを立ち上げる。
創業時から、まだ国内で馴染みがなかった「高断熱・高気密」による家づくりを追求。自然素材を活かした「無添加住宅」を富山県内で初めて手掛けるなど「「健康住宅」にこだわり続けている」と胸を張る。
県優良住宅協会では、木造住宅建築技術基礎講座「はじめの一歩塾」が21年度開講するなど、副会長として若手技術者の育成に尽力。一般社団法人JBN・全国工務店協会の理事も務め、地域工務店の経営安定や技術向上にも貢献している。後進には「目先のことばかり考えず、もっと長い目で見てほしい。目の前の仕事を取るために、質を落とし、予算を落とすと、どこかに歪みが出るもの」と指摘。工務店として「自分の建てたい家をお客様にどう伝え、いかに納得してもらえるか、きちんと説明することが大事」と、施主とのコミュニケーションの重要性を説く。