国の直轄砂防工事が実施される山形県小国町、新潟県関川村、胎内市、新発田市で構成する、飯豊山系砂防促進協議会(会長・仁科洋一小国町長)は21日、2023年度総会を新発田市内で開いた。砂防事業の建設促進を目指すとともに、予算規模の大幅な拡大や、流域全体の治水安全度向上を図るため、関係機関に積極的な要望活動を行うことを確認した。
会に先立ち、仁科会長は国内有数の豪雪地に位置しているとし「砂防施設は自然環境にも不可欠であり、(22年8月の大雨でも)財産の保全に大きな効果を発揮している」と整備の重要性を強調。事業予算の確保については「財源確保は厳しいが、地域住民の安全安心な生活環境のため、砂防事業の推進を強く要望していく」と協力を求めた。また、副会長を務める加藤弘関川村長は、国の防衛費増額が公共事業費にしわ寄せがこないか危ぐした上で「生命や財産を守るために協力してほしい」と呼び掛けた。
23年度事業計画では、激甚災害等から地域を守るための危機管理体制の充実と飯豊山系砂防事務所を含めた北陸地方整備局の組織体制の継続的な拡充強化をはじめ、自然環境と調和のとれた砂防事業の推進などのほか、新たに土砂・洪水はんらんや流木を伴う激甚な土砂災害が頻発していることから、関係機関などと連携し流域治水の考え方に基づいた砂防事業の推進を働き掛けていく。
総会後、北陸地方整備局飯豊山系砂防事務所から23年度の事業概要が説明。小国町内では杉立沢土砂流出対策など6カ所に着手するほか、新発田市内の中中山沢砂防堰堤、加治川砂防施設改築など4カ所、関川村は藤沢川第3号砂防堰堤など2カ所、胎内市は荒川下流土砂・流木対策砂防堰堤改築(2工区)の1カ所で推進する。