日本工業経済新聞社(埼玉)
2023/07/25
【埼玉】埼建協が8月に経営講習会、迫る時間外労働上限規制
埼玉県建設業協会(小川貢三郎会長)は、2024年度に建設業でも適用が始まる時間外労働の罰則付き上限規制への対応加速を目指す。会員企業などの経営者、経営幹部のほか、人事担当らも対象にした経営講習会を8月2日に開く。公共工事の発注者も対応を強めており、事業者団体らと連携し、規制への認識で改めて足並みをそろえ、就労環境改善を急ぐ。
「働く人がしっかりと休め、他産業と比較しても遜色ない給与がもらえ、快適な働く環境を整備することが人材を確保する第一歩」
5月に新会長に選出された小川会長は埼玉建設新聞のインタビューで、担い手の確保・育成などを巡る見解、課題対応への切迫感を隠さなかった。新たな法令対応には、経営側の積極的な姿勢が欠かせない。
8月の経営講習会には、関東地方整備局建政部建設産業第一課、埼玉労働局労働基準部監督課の各担当を招く予定。整備局側には、公共工事の発注者による適正な工期設定の取り組みなどを説明してもらい、受発注者の認識共有を深める。労働局側は、経営者目線で助成金など支援策の概要などを報告する見通し。
小川会長は「週休2日に合わせた設計・積算はもちろん、われわれ施工者側も生産性を上げる努力をする」と強調している。生産性向上のため、BIM/CIM、ICT施工への対応強化に取り組む。
経営者の背中を押すという観点では、ICT施工の利点を経営者に直接伝える経営者セミナーの企画に関東整備局が力を入れ始めた。ICT施工に現場がどれだけメリットを感じても最終的な導入判断は経営者が下す。トップの判断を助ける機会として、セミナーなどを仕掛ける狙い。
こうした流れを受け、今後は民間工事でもしっかり週休2日がとれるよう、民間発注者から理解を得ていくことが一層重要になる。公共工事で起こった循環を確かな成果につなげることが、民間への波及に結び付く。