多様な見方でものづくりに貢献 長崎大学は、工学部と情報データ科学部の2025年度の入学者選抜(24年度実施)から『女子枠』を導入する。総合型選抜または学校推薦型選抜の特別入試に、両学部それぞれ10名程度の女子枠を設ける。
20日の定例会見で森口勇理事(教学担当)は、「政府や産業界から、特に理工系の女性科学者・技術者が求められている。本学としても、これまで以上に男女が共に学び合う多様性ある教育環境を整え、女性科学者・技術者の育成・輩出に貢献したい」と説明。
日本の大学の工学分野の女子学生割合は、21年度現在15・7%で、大学全体の割合(45・5%)と比べてかなり低い状況。長崎大学の21〜23年度入学者に占める女子学生の平均割合は、情報データ科学部が16・5%、工学部に至っては12・2%と低い状況にある。
森口理事は「特に工学部は伝統的に男子学生が多く、女子生徒が志願を躊躇することもあったようだ。今回の女子枠導入が呼び水となって、女子学生の割合が増えることで、男女が共に学び、多様なものの見方や考え方により、モノづくりやIT技術、サイエンスの発展に貢献できれば」と期待した。
大学院―工学、水産・環境科学研究科を統合 会見では、大学院の工学研究科と水産・環境科学総合研究科を発展的に統合し、2024年4月に「総合生産科学研究科」を設置することも発表された。
新たな研究科は、DXやGXの最先端技術を活用しつつ 長崎大学にある四つの基礎学部(工学部、水産学部、環境科学部、情報データ科学部)の知識や技術を深化させ、相互に連携する教育研究大学院を目指す。
1専攻(総合生産科学専攻)4コース制で、共生システム科学コースと海洋未来科学コース、水環境科学コースの三つが博士前期課程(2年)と後期課程(3年)で構成。グリーンシステム科学コースが、5年一貫制課程となる。
会見で木村正成・総合生産科学域長は、力を入れていきたい分野としてエネルギー・資源・環境問題≠挙げ、「長崎は海に囲まれている。洋上風力発電や潮流発電など、海洋再生可能エネルギーによる新たなカーボンニュートラルの形も掲げたい」と意気込みを語った。