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建設経済新聞社
2023/07/13

【京都/滋賀】見坂茂範近畿地方整備局長が就任会見 事前防災や減災対策に注力 全力でミッシングリンク解消

 近畿地方整備局の見坂茂範局長は11日、大阪市中央区の大手前合同庁舎で就任会見を開いた。
 見坂局長は3つの取組方針を掲げ、「まず1点目は人命と財産を守る、安全・安心の確保にしっかりと取り組みたい」と述べた。
 直近の豪雨災害などに触れた後、「国土強靭化基本法が改正され、国土強靭化の内容、事業規模が法定化されることになった。これまでは閣議決定された内容だったが、今回の法律改正を受けて、事業規模などは法律事項になった。こういったことも踏まえ、近畿地方整備局としては、流域治水、砂防、道路ネットワークの整備など、必要な事前防災対策や減災対策などの対策に引き続き取り組みたい」と述べた。
 「災害対応には2つの観点が必要と考えている。1点目が人命救助、道路啓開、応急復旧など初動から、それぞれの各局面に応じて、近畿地方整備局の機動力、現場力を総動員し、総力戦で災害対応に迅速に臨むこと。2点目が地域住民にしっかりと命を守る行動をとっていただく。そのためには、日頃から地方自治体をはじめとした関係機関、地域住民と顔の見える関係を築いておく。自助・共助・公助で地域の防災力を高めておくこと」。
 「取組方針の2点目は、関西経済の活力、生活の豊かさの向上のためのインフラ整備、これをしっかりやっていきたい。2025年(令和7年)の大阪・関西万博に向け、近畿地方整備局として必要なインフラ整備を推進するとともに、道路や港湾など万博開催時の来場者の円滑な輸送、交通の円滑化に向けた取組を関係機関と連携して進めていきたい。例えば一例として、万博会場となる夢洲と新大阪駅を結ぶシャトルバスのアクセスルートとして、淀川左岸線の2期を暫定的に利用できるように大阪市と阪神高速で整備を進めているが、国としても支援していきたい」「万博開催期間中も渋滞対策が必要。万博会場周辺で駐車場を探すような車に対し、色んな誘導対策を関係機関と検討している。必要な整備とともに、オペレーションも関係機関と連携し準備を進めていきたい」「万博を一過性のイベントにならないように、万博を契機として、関西特有の歴史・伝統・文化といった地域資源を生かした観光づくりも進めていきたい。一例として、淀川の舟運の復活に向けて、近畿地方整備局では、淀川大堰閘門の整備や十三の緊急用船着き場の整備などを行っており、舟運を核とした賑わいや観光コンテンツの充実を図りたい」「万博以降も関西ではイベントが目白押し。令和6年夏頃にはうめきた2期の先行まちびらきがあり、北陸新幹線、リニア中央新幹線の開業などが予定されている。関西経済の活性化に向けた大きなチャンスと考えている。こういった産業活動を支えていくために、近畿地方整備局としても、道路ネットワークの整備を推進するとともに、交通の結節点にあたるエリアでのまちづくりや再開発の動きについても地元の自治体や経済界と連携していきたい。港の国際競争力の強化に向けて、国際コンテナ戦略港湾の阪神港の機能強化やカーボンニュートラルの実現を図りたい。関西経済を更に発展させるために、しっかりとインフラ整備に取り組んでいきたい」。
 「取組方針の3点目は魅力ある建設業に向けた取組を進めたい。前職は大臣官房技術調査課長で、国交省の公共事業の発注行政の責任者だった。建設業の方々の様々な声を全国各地で聞いてきた。インフラ整備を支える建設業は、自然災害からの復旧なども含めた地域の守り手として、なくてはならない産業と考えている。地域の守り手である建設業がないと、発注者だけではできない。防災力を高める意味でも、建設業は地域の守り手として非常に重要な産業であり、その担い手を確保するため、新4Kと呼んでいる給与・希望・休暇に『かっこいい』を加えた4つの実現に取り組みたい」「建設業の処遇改善として、給与については設計労務単価を11年連続で引き上げ、コンサルタント業務も技術者単価を引き上げた。休暇については週休2日制を標準とした取組を国交省で既に行っており、週休2日になることで工期もそれに合わせ、土・日が休めるような工期にしないといけない。工事の施工時期の平準化も進めたい」「受発注者のコミュニケーションをしっかりと取りながら、色んな局面で近畿地方整備局がリーダーシップを発揮して、地方公共団体や民間の工期も解決するように取り組みたい」「希望・かっこいいという観点について、建設業の生産性を向上させることが大事。BIM/CIM、ICTの活用に既に取り組んでいる。近畿地方整備局では、平成23年の紀伊半島大水害の復旧工事において、自動化、無人化施工にも先行的に取り組んでおり、先進的な地域だと考えている。建設業の更なる生産性の向上に努めたい。そういったことを通じて、若い人たちに建設業の希望とかっこいいという魅力を発信していきたい」と述べた。
 その後の質疑では、近畿地方の課題について「道路については、計画はあるがつながっていないミッシングリンクが多い。そういったところをしっかりつなげれば更なる関西経済の発展につながると考える。道路インフラは経済を支える一番の基盤となる。このミッシングリンクを少しでも解消するように全力で取り組みたい」と述べた。
 令和6年4月から建設業にも適用される時間外労働の罰則付き上限規制について「建設業は長時間労働が問題視されている。発注者が建設業の皆さんと一緒になって働き方改革に取り組まないといけない。そのためには、発注者として週休2日に取り組むこと、受発注者間の書類のやりとりの簡素化、手続きの簡素化に取り組みたい。建設業の皆さんとお互いに顔の見える関係で働き方改革にしっかり取り組みたい」と述べた。
      ◇      
 見坂茂範(けんざか・しげのり)氏は、昭和43年7月生まれの54歳。兵庫県出身。
 平成5年に建設省採用後、近畿地方整備局京都国道事務所長、道路局企画課評価室長、福岡県県土整備部長、関東地方整備局企画部長、大臣官房技術調査課長を経て、7月4日付の人事異動で近畿地方整備局長に就任。