旭川中上流ダム再生事業の調査検討を進めている国土交通省岡山河川事務所は、旭川ダム施工計画と施工設備概略設計に着手する。2022年度にまとめた旭川中上流ダム堤体関連概略設計に引き続き、トンネル洪水吐案と下流移設案の2案の概算費用対効果を検討する。24年2月末までに検討結果をまとめる。関係機関との協議も進めて早ければ24年度にも工事手法の方向性を固める見通し。
23年度予算には旭川中上流ダム再生事業費に5億円を計上、7件の調査をすでに委託、さらに7月中に4件の調査を委託し湯原ダムと旭川ダムを対象とした洪水調整機能確保のダム再生の検討を進める。
出水期には、旭川ダムでは降雨に備え水位を約2b下げた運用を想定。農業用水や景観など旭川河川維持流量を確保するため、湯原ダムの機能拡充を検討している。
旭川ダムのトンネル洪水吐案は、ダム堤体を迂回(うかい)した大規模トンネルにより洪水調節機能を果たす方式。一方、下流移設案はダム本体の座取り検討を行い、移設に適した地形や条件を考慮して新たに下流側へのダム本体を移設する方式。具体化すれば旭川の洪水調整機能の拡充を図る大規模事業として期待されている。
旭川ダムは1954年に完成した重力式コンクリートダム。堤体は高さ45b、堤頂長212b、堤体積14万6000立方b、クレストゲート幅12b×高さ9・3b10門などがあり、取水塔や放流トンネルも備えている。満水位はEL110bで、放流量は650立方b/秒を超えると洪水調整に入る。
「提供;建通新聞社」