横浜市にぎわいスポーツ文化局は、三渓園で物販・飲食施設を整備する他、歴史的建築物を宿泊施設として活用する考えだ。用途制限の緩和が必要になるため、その手法や緩和する用途、対象エリアなどを検討する。これに向け、オリエンタルコンサルタンツ神奈川事務所(横浜市中区)に調査支援業務を委託した。
三渓園の敷地17万5000平方bには、室町時代建築の旧燈明寺三重塔など10棟の重要文化財を含む17棟の歴史的価値の高い建築物が立ち、国の名勝指定を受けた日本庭園が広がる。明治から昭和にかけて活躍した実業家である原三渓が日本各地から歴史的建築物を移築して作った庭園。
敷地全域が第1種低層住居専用地域で、物販・飲食や宿泊施設を整備できない。特別用途地区や地区計画の設定の他、用途地域の変更で規制を緩和できないか検討している。
物販や飲食施設は未利用地に新築するのか、既存の茶屋を改修または建て替えるのか現段階では未定。過年度に再整備を検討していた正門周辺は候補地の一つとなっている。
宿泊施設として活用を検討する建築物の一つとして、原家の本宅だった鶴翔閣がある。00年に建築当初の姿を復元し、会議やパーティーの会場として貸し出している。
ただ、宿泊施設として活用するには制度面で高いハードルがある。用途地域を変更する場合、第1種住居地域にする必要があり、時間を要する上条件が厳しい。さまざまな選択肢を探るため、民泊として開業できないか検討を始めたが、民泊は人が住居として使用する住宅でしか開業できず、鶴翔閣は条件を満たさない。国に「住宅宿泊事業法施行規則第1条と第2条」の改正を要望し、民泊を開業できる対象を拡大するよう求める。
三渓園の所在地は中区本牧三之谷58ノ1。
提供:建通新聞社