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建通新聞社(静岡)
2023/07/05

【静岡】工事事故の発生防止 現場の「工夫」水平展開

 静岡県は、工事事故の発生を防止する現場独自の安全対策を収集、水平展開する「一(イチ)現場・安全一(ヒト)工夫」をスタートした。この新しい試みは、県発注工事の受注者が独自に取り組む安全対策を施工計画書に記載してもらい、他の現場にも広がるよう県が情報発信するもの。県は「コストをかけた対策だけでなく、少しの工夫が事故防止につながる事例もある。現場の安全意識の向上につながってほしい」(交通基盤部工事検査課)と、県発注工事の受注者に協力を呼び掛けている。
 報告の対象は、交通基盤部と経済産業部が発注する本庁検査対象工事(土木工事1億円以上、農林工事4000万円以上)。工事着手前や施工方法が確定した際に監督職員に提出する施工計画書の「創意工夫」の項目に具体的な対策や工夫を記載してもらう。
 報告してもらうのは、「転倒・墜落防止」「建設機械関連事故防止」「公衆災害防止」「見える化」(事故防止や安全衛生活動などの視覚化)の4類型。現場の労働災害で最も多い転倒・墜落防止では、危険箇所に注意内容を図示したパネルを設置する取り組みなどを例示。
 県発注工事の契約時にリーフレットを配布したり、静岡県建設業協会(石井源一会長)を通じて会員企業に協力を求めるなど、事例収集への協力を求める。
 集まった事例は、今年5月から工事検査課が作成しているリーフレット「A(安全)−Press」などで順次発信する。他の工事でも取り組みやすい現場の工夫を周知し、県発注工事での事故防止へとつなげる。
 交通基盤部と経済産業部の発注工事では、22年度に労働災害8件、公衆災害27件が発生。労働災害のうち1件は重機との接触による死亡災害だった。23年度は、6月21日までに11件と前年度を上回るペースで工事事故が発生しており、好事例の展開によって現場の安全対策を強化する。

「7月1日から全国安全週間」

 6月1日〜6月30日の準備期間を経て、7月1日からは全国安全週間がスタートする。22年度に静岡県内の建設現場では、前年度を4件上回る12件の死亡災害が発生しており、厚生労働省静岡労働局は安全パトロールなどの機会を通じ、対策の強化を呼び掛ける。