新技術の活用など追記 毎年10―11億かけ補修推進 佐賀県はこのほど、橋梁長寿命化修繕計画(個別施設計画)を修正した。道路メンテナンス事業補助要綱の改訂に伴って、橋梁の点検や補修工事での新技術の活用、更なるコスト縮減などの文言を追記している。同計画の期間は2020年度から29年度までの10年間で、約108億7300万円を投資して420橋の補修を実施する予定。
同計画は09年度に策定した橋梁長寿命化修繕計画を見直したもので、適切に橋梁の点検と補修を行い、橋梁の長寿命化と維持管理費の縮減および平準化を図る。
今回の変更では、橋梁点検の実施方針に「維持管理の更なる高度化、効率化に向け、新技術の活用を検討する」と追記。コスト縮減効果に関して、「全ての橋梁の点検および補修工事で新技術の活用を行い、更なるコスト縮減を目指す」と新たに明記した。このほか、軽微な文言変更を行っており、計画自体の内容変更はない。
県が管理する道路橋は橋長2b以上15b未満の橋梁2439橋、橋長15b以上の橋梁745橋で、合計で3184橋。構造形式はRC橋28%、PC橋29%、溝橋(ボックスカルバート)36%となり、コンクリート橋が全体の9割以上を占める。
架設年次は1971年をピークに高度経済成長期に建設が集中しており、建設後50年以上が経過した橋梁の割合は2019年10月時点で22%だが、10年後に44%、20年後に60%、30年後には79%と加速度的に増加する見通し。この状況を受け、県では09年度から橋梁の点検や調査、補修などを効率的に進めてきた。
19年度までに点検を行った橋梁については、175橋(管理橋の約5%)が早期に措置を講ずることが望ましい健全度Vと評価され、1278橋(同約40%)が予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい健全度Uと判定された。
この結果を基に県では健全度Vの175橋について5年以内の対策完了を目標とし、その後速やかに健全度Uの橋梁対策に着手して予防保全型修繕への転換、予算の平準化を図る。今後50年間の投資シミュレーションでは、橋梁修繕の投資予算を年間11億円とすることで、この目標を達成できるとしている。
今後10年間の年次計画によると、補修費は合計で約108億7300万円となり、毎年10億円から11億円程度を投資する予定。
コスト縮減効果としては、長寿命化修繕計画に基づく「予防保全型」(約437億円)への転換により、50年間のライフサイクルコストで耐用年数を経過したのちに更新を行う「更新型」(約2964億円)より2527億円(年間約50億円)、損傷が進行した段階で補修を行う「対症療法型」(約1507億円)より1069億円(年間約21億円)を縮減できる見通し。