京都府総合政策環境部は、生物多様性地域戦略を改定する。府立植物園100周年を契機とした「きょうと生物多様性センター」と連携した標本庫や展示スペース、学習拠点の整備の推進などを盛り込む。
平成30年3月に策定した現行の戦略は、長期目標を2050年(令和32年)、短期目標を2018年度(平成30年度)〜2027(令和9年度)に設定。策定から5年が経過したことから、現在の取組状況とともに、国の生物多様性国家戦略の令和5年3月改定を踏まえ、中間改定を行う。
中間案によると、主な改定の内容は、@生態系の保全・再生の強化(▽京都ならではの自然環境を形成する社寺林・庭園や企業の森、大学等の緑地を対象とし、2030年(令和12年)までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標「30by30目標」に向けた自然共生サイト認定を推進▽京都府みどりの食料システム基本計画に基づき、化学肥料や化学農薬の低減による有機農業の拡大など、環境への負荷の軽減に配慮した持続可能な農林水産業を推進A自然を活用した社会課題の解決(▽都市公園の整備や多自然川づくりなど、自然環境が有する多様な機能を活用するグリーンインフラや生態系を活用した防災・減災(Eco−DRR)の取組を推進▽生物多様性企業認証制度(仮称)やパートナーシップ協定制度(仮称)を創設し、企業による生物多様性に配慮した持続可能な事業活動を拡大Bビジネスと生物多様性の好循環とライフスタイルの転換(▽竹林等の地域資源の循環的活用や希少種保全を通じたブランド産品の創出など、地域経済の活性化に貢献するビジネスモデルを創出▽生物多様性に配慮した商品・農産物の購入、プラスチックゴミの削減、食品ロスの防止など、消費行動を促すための教育や普及啓発を推進C京都ならではの取組の推進(▽きょうと生物多様性センターを核とした生物多様性保全の取組強化▽京都の自然と結びつき育まれてきた京料理や茶道、華道など京都の伝統文化や文化財、景観の保護・継承の推進▽府立植物園100周年を契機とした、きょうと生物多様性センターと連携した標本庫や展示スペース、学習拠点の整備の推進▽大学生への普及啓発や保全活動への参画の推進など、大学・学生のまち京都の強みを活かした次代を担う人材の活動の場を創出▽推進体制に庁内連携・きょうと生物多様性センターのハブ機能強化等について明記)。
このほか、産業創造リーディングゾーンであるサステナブル産業の集積拠点「サステナブルパーク構想」や、ゼロカーボンまちづくりを目指した「ZET−valley 構想」と連携し、生物多様性と密接な関係にある脱炭素や資源循環等の推進に貢献するGX(グリーントランスフォーメーション)産業の創出を図るとした。
主な数値目標は、▽建築物等の緑化促進制度の緑化面積…@88万u(令和4年)A103万u(令和9年)▽府内産木材の利用量…14万m3(令和3年)A25万7000m3(令和8年)−など。
中間案はパブリックコメントを行った後、9月定例議会に最終案を報告する予定。