横浜市建築局は、要緊急安全確認大規模建築物(いわゆる「大規模多数利用建築物」)の耐震診断結果を更新した。6月20日時点で、調査対象の76棟のうち耐震性がなく建て替えなどが必要な施設は、耐震改修中のホテル1棟を除くと19棟。耐震診断結果を初めて公表した2017年に比べ12棟減少した。
市は、大規模多数利用建築物の耐震診断結果の報告を義務付けている。今回の調査対象は76棟で、17年から4棟の減少となった。
耐震診断では、震度6強から7程度の大規模な地震で倒壊、または崩壊する危険性を、「T:危険性が高い」「U:危険性がある」「V:危険性が低い」の3段階で評価する。このうち、「T:危険性が高い」「U:危険性がある」と診断された建築物は耐震性がないため、建て替えや耐震補強、除却を促している。
大規模多数利用建築物は、不特定多数の人が利用する3階建て以上で延べ床面積が5000平方b以上の病院やホテルなどと、避難で配慮が必要な人が利用する2階建て以上で延べ床面積が3000平方b以上の小中学校などのうち、旧耐震の施設が対象となる。
耐震性がない19棟のうち、ローズホテル横浜では23年度に耐震工事に着工するとしていたが、27年度の着工に延期した。
耐震性がない民間建築物は次の通り。
▽横浜中央病院▽横浜掖済会病院▽横浜保土ケ谷中央病院▽横浜旭中央総合病院A棟▽大倉山記念病院(A棟、C棟、E棟)▽長津田厚生総合病院▽昭和大学藤が丘病院B棟▽孝道山本仏殿A棟▽サクラピア東神奈川▽相鉄北幸第1ビル▽ニューオデオンビル▽セルテ▽シルクセンター国際貿易観光会館▽磯子駅前ビル▽第百ビル▽ローズホテル横浜▽Jオイルミルズ包装工場▽IHI横浜事務所第2工場
〜沿道建築物 危険性高い197棟〜
併せて、「要安全確認計画記載建築物」(いわゆる「沿道建築物」)の耐震診断結果も更新した。6月20日時点で、対象となる民間建築物427棟のうち、地震で倒壊または崩壊する危険性が高いと診断した建築物が197棟(46・1%)となった。前回更新した22年末から除却により2棟減少した。危険性があると診断した建築物は99棟(23・2%)で、耐震改修により2棟減少した。
沿道建築物は、倒壊した際に対象路線の半分を閉塞する恐れのある旧耐震の建築物。大規模対数利用建築物と同様に耐震診断の報告を義務付けている。対象路線として、市道環状2号線など20路線を指定している。
提供:建通新聞社