建通新聞社
2023/06/22
【大阪】近畿地整と道建協・関西支部が意見交換会を開く
国土交通省近畿地方整備局をはじめ関西地区の各公共発注機関と日本道路建設業協会(道建協)・同関西支部との「2023年度道路工事等の諸課題に関する意見交換会」が6月20日に開かれ、公共工事予算の安定的・持続的な確保をはじめ、道路舗装工事における労働環境の改善などをテーマに意見を交わした。協会側からは、ICT舗装(i―Pavement)の積極的な活用など、新技術開発の推進と普及に関する要望が出された。
開会のあいさつで近畿地整の渡辺学局長は、「処遇改善、特に賃金については、労務単価を11年連続で引き上げた。現場の労働者一人一人、さらには企業の全職員の賃金アップにつなげられるよう、一緒になって頑張っていきたい」と述べた。
また、働き方改革については「週休2日制の拡大や時間外労働の削減についても、発注者としてしっかり取り組んでいく」とした。また、「国だけでなく自治体の方にも普及させていくことが重要」とも述べ、自治体にも理解を求める考えを示した。
道建協の西田義則会長は、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策の確実な実施を求めた上で、「道路整備・維持管理・更新を着実に進め、激甚化する自然災害に備えるためには5か年加速化対策後においても引き続き予算の安定的かつ継続的な確保が必要不可欠。投資規模の見える中長期計画を策定していただき、現行以上の予算の確保をお願いしたい」と求めた。
その上で、「道路は国民の命と生活を支える基盤で地域の方々の安全で快適な生活環境を確保する上で極めて重要。道路整備の一翼を担う道路建設業界には高い社会的使命が課されている」とし、最善の努力を尽くす考えを示した。
道建協では、測量から施工、検査などに至るまで各段階でICTを活用して構築する道路舗装工事を推進するため、i―Pavement推進本部を設置し、技術講習会や現場見学会を行っている。今回、舗装工事の施工管理におけるアスファルト合材の表面温度管理を例に挙げ、新技術の現場での実装を要望した。
また、近畿地整と共催で実施しているi―Construction技術講習会に対し、引き続き協力を求めた他、新たな技術開発に対する支援や実装するための仕組みづくりを求めた。
〜カーボンニュートラル促進に中温化合材を〜
意見交換会の最後に、道建協の吉川芳和副会長は中温化合材について情報提供した。中温化合材とは、アスファルトの粘度を一時的に低下させる特殊添加剤の効果によって、通常のアスファルト混合物の製造温度および施工温度を30度程度低減させることのできる加熱アスファルト混合物。CO2排出量が20%削減できる他、施工性の改善にもつながるとしている。東京都では、22年6月3日に新規取り扱い混合物として承認され、導入が始まっている。